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【政治】

議論せかす首相、戸惑う自民 「改憲で自衛隊明記」念頭 党に指示

自民党役員会に臨む安倍首相(中央)=8日午後5時5分、東京・永田町の党本部で(小平哲章撮影)

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 安倍晋三首相(自民党総裁)は八日の党役員会で、二〇二〇年施行を目指すとした改憲について「衆参の憲法審査会で自民党が現実的かつ具体的な議論をリードする責任がある。本年いよいよ歴史的な一歩を踏み出したい」と党内論議の加速を指示した。

 三日に開かれた改憲を訴える会合に寄せたビデオメッセージで示した九条への自衛隊の存在明記が念頭にある。

 首相は党役員会に先立つ衆院予算委員会で、ビデオでの提案の意図について「国会での政党間の議論を活性化するためだ」と説明。具体的な改憲項目に関しては「首相としてこの場に立っているので詳細は控える」と言及を避け、党総裁と首相の立場を使い分けた。

 改憲の目標時期を示した理由については「『いつまでに』ということを党総裁として述べるべきだと考えるに至った」と語った。民進党の長妻昭氏らへの答弁。

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 憲法に自衛隊の存在を明記するという安倍晋三首相(自民党総裁)の提案は、これまで野党と合意可能な改憲項目を探ってきた与党の戦略と食い違い、憲法論議の現場では戸惑いや反発が広がっている。安倍政権下の改憲に反対する野党は、「本丸」に踏み込む首相発言に警戒を強めた。 (篠ケ瀬祐司)

 首相の提案は、九条一、二項を残した上で、自衛隊の存在を明文で書き込む内容。公明党内には、現行の九条を堅持した上で、自衛隊の存在や国際貢献を明記すべきだとの声がある。また、民進党の前原誠司元外相は昨年の党代表選で九条に三項を加え、自衛隊を位置付ける提案をした。

 自民党が二〇一二年にまとめた改憲草案は、戦力不保持と交戦権否認を削除し、首相を最高指揮官とする国防軍を保持するとしていた。首相はこれを封印し、公明党や民進党内の意見に歩み寄ったことになる。自民党にとどまらず、こうした党や議員からも賛同を期待してのことだ。

 だが、憲法論議を党や国会で主導してきた自民党幹部は、首相の真意を測りかねている。国論を二分する九条見直しは後回しにし、緊急事態条項の新設などを優先する戦略を描いてきたからだ。

 自民党の船田元・憲法改正推進本部長代行は八日配信のメールマガジンで、首相発言と現場の考え方に「ズレが生じている」と苦言を呈した。公明党幹部も「民進党が『議論できない』と言い出しかねない。逆効果だ」と話した。

 民進党の野田佳彦幹事長は記者会見で「行政府の長が(憲法審査会という)立法府の審議のありように強く介入している」と批判。共産党の小池晃書記局長は「何が何でも九条に手を付けたい野望が出た。自衛隊が海外で制約のない武力行使をすることに道を開くものだ」と本紙に語った。

 

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