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【政治】

首相「特区全国展開」発言 「加計批判かわし」「獣医師の質落ちる」

 国家戦略特区を活用した学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題で、安倍晋三首相は記者会見で約束した説明責任を果たさないまま、「(獣医学部特区の)全国展開を目指す」と打ち出した。唐突なこの発言に、専門家からは「批判をかわす狙いだ」「獣医師の質が落ちる」などの声が上がる。

 安倍首相は二十四日に神戸市内での講演で、「一校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として国民の疑念を招く一因となった」と「加計ありき」を否定。獣医学部特区を各地に広げる考えを示した。

 加計学園問題では「総理の意向」などと記された文書などの存在が次々と明らかになり、文科省の前次官は「行政がゆがめられた」と指摘。しかし政府は事実関係の調査を拒み、報道各社の世論調査で内閣支持率は低下している。

 こうした状況での「全国展開」発言を、新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は「加計学園に絞られたのが安倍首相本人や側近との関係にあるのではないか、という批判の矛先をそらそうとしたのだろう」と指摘。「都議選での自民党へのダメージを抑えたいというのも見え見えだ」と話す。

 そもそも特区で地域を限定し、規制を突破しようとしたのは政府の判断だ。獣医師の需要見通しなどから学部新設を抑えてきた文部科学省のある職員は「一校に絞った経緯などについてあれだけ議論してきたのに、すべてひっくり返すような発言だ」と戸惑う。

 獣医師の数は地域や職種で偏りはあるものの全国的には需要は満たしており、学部新設には異論がくすぶる。全国の獣医系大学でつくる協議会会長の稲葉睦・北海道大学教授は「もし全国展開すれば教員の確保も難しく、獣医師の質を落としかねない」と心配する。

 加計学園と競合し「一校限定」とされて断念した京都産業大学の担当者は、取材に「首相の発言にはびっくりしたが、どういう経緯で語ったのか分からない…」と言葉少なだった。

 

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