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【政治】

財政再建 目標時期示さず 自民、衆院選公約で

 自民党は二十六日、これまで「二〇二〇年度」としてきた財政再建の新たな目標年次を、衆院選公約に明記しないことを決めた。安倍晋三首相は二十五日の記者会見で、一九年十月に税率10%に引き上げる予定の消費税増収分の使い道を変えると同時に財政黒字化の目標年度を事実上撤回すると表明したが、自民党は新たな目標年次に関する議論を選挙後に先送りした。

 岸田文雄政調会長は二十六日、首相会見を受けて党本部に政調幹部を集め、公約作りに着手した。十月二日にもまとめる。自民党は昨年の参院選まで、公約に財政再建目標に関して、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を「二〇年度までに黒字化するとの目標を堅持」と明記してきた。

 首相は二十五日の会見で、消費税の増収分を財政再建よりも幼児教育の無償化に割り当てる考えを表明し、目標を撤回。その後のテレビ朝日番組で、新たな黒字化目標の時期を選挙期間中に設定することは「難しい」と語った。

 以前の政府は黒字化目標を「一一年度」としていたが、麻生政権は〇九年に「一九年度までに」と先送り。民主党政権が「二〇年度までに」と再設定し、その後の安倍政権も引き継いだ。

 安倍首相は、消費税率引き上げを二度にわたり延期した際も、黒字化目標は「堅持する」としていたが、困難になったとの見方が強まり、年末に再検討する予定だった。

 自民党政調幹部は、公約への明記見送りについて「突然選挙になって議論の時間がない。財政再建の旗は降ろさない」と説明した。

◆首相「独断」 党内議論進まず

<解説> 自民党が、基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の新たな目標年次を衆院選の公約で示さないのは、安倍晋三首相が党内議論を経ずに突然、消費税増税の使途変更を打ち出したため、検討が間に合わない事情がある。

 財政再建目標を巡っては、これまでも自民党内で綿密な議論が重ねられてきたとは言い難い。安倍首相が過去二度にわたって消費税率引き上げを延期した際も、唐突な政治判断だった。石破茂元幹事長は「党内で議論が成熟しないまま、総裁のひと言で変わってしまう。結論ありきだ」と党の体質を嘆く。

 「幼児教育の無償化」と引き換えに財政健全化を先送りすること自体、むしろ将来世代を苦しめるとして矛盾を指摘する声も。石破氏は「財政健全化が遅れ、子どもたちが社会を担うとき財政がさらに悪化する」、党政調幹部は「より後代まで借金を付け回すことになる」と疑問視した。

 新たな財政再建目標を示せないまま、幼児教育無償化など聞こえのいい政策を並べて、有権者に信頼されるのか。少なくとも党内議論があれば有権者に判断材料を提供できたが、解散劇でその機会は封じられた。 (大杉はるか)

 <基礎的財政収支> 財政の健全度を示す指標で、プライマリーバランスとも呼ばれる。国債などの利払い費と償還費を除いた社会保障などの政策に必要な経費を、借金に頼らずに税収でどれだけ賄えているかを示す。日本は国と地方を合わせた基礎的財政収支は1990年代から赤字が続き、政府が掲げる単年度の黒字を実現しても、借金が増えない状況になったにすぎない。長年積み重ねてきた赤字はほとんど減らないため、日本の財政が借金漬けである状況は変わらない。

 

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