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【政治】

「自衛隊9条明記」争点 隊員ら複雑 「身分のお墨付きを」「家族は納得できぬ」

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 衆院選(二十二日投開票)では、戦争放棄や戦力不保持をうたう憲法九条を変えるべきかどうかが争点となっている。自民が自衛隊を明記する公約を掲げる一方、共産や立憲民主などは反対の立場だ。安倍政権下で自衛隊の活動範囲が一気に広がり、改憲勢力が改憲発議をできる三分の二を超えるかが注目される中、自衛官やその家族らは複雑な思いを抱く。

 「憲法九条に明記されようがされまいが、やることは変わらない」。首都圏の基地に勤務する海上自衛隊佐官はこう話す。

 五月には、制服組トップの河野克俊統合幕僚長が「一自衛官として言えば非常にありがたい」と発言し物議を醸した。だが、この佐官は「高官になれば政府の意向も考えるのだろうが、部隊目線で言えば今のままで不都合はない」と言い切る。

 東京・市谷の防衛省本省に勤務する陸自佐官は防衛大学生時代、街で「税金泥棒」となじられたことを思い出す。防大卒業は今世紀に入ってから。すでに政府の世論調査で、自衛隊に「良い印象を持っている」との回答が八割を超えていたが、反感は根強く残っていた。「雰囲気が変わったのは、東日本大震災の救助活動後。不遇な境遇に置かれてきたわれわれは、身分のお墨付きがほしい」と改憲に期待する。

 中部地方の三十代の男性陸上自衛官は「自衛隊が明記されてどうなるのか。(他国を武力で守る)集団的自衛権も認められ、戦地での任務が生じるかもしれない」と疑念がよぎる。阪神大震災での人命救助に感銘し入隊。東日本大震災では自ら東北地方で活動し、存在意義を感じた。「それだけでいい。憲法に書かれなくても」と思う。

 男性は「戦地で戦う態勢も心構えも、今の自衛隊にはない」とも。合同演習で指揮する米国の軍人は経験豊富だが、戦地を知らない自衛隊幹部が「本番」で統率できるのか。「戦地に行くという現実を突きつけられたら、辞めてしまう人がいるかもしれない」と懸念する。

 夫が自衛官の愛知県内の四十代女性は「私は九条改憲に否定的です」と話す。自らも自衛官として基地で勤務していた時に知り合った夫と結婚。退職し子育てをするようになって、夫の身を一層、案じるようになった。

 一九九〇年代に国連平和維持活動(PKO)が始まってから、自衛官の危険は増していると感じる。改憲が実現すれば、米軍とともに戦闘の最前線に送られ、命を落とす人が出るかもしれない。「死んでしまったら、残る家族はとても納得できない」

 

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