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【政治】

飲食店、喫煙可150平方メートル以下に後退 遅れる日本、禁煙派批判

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 東京五輪・パラリンピックが開かれる二〇二〇年までに「受動喫煙のない社会を目指す」との目標を掲げてきた厚生労働省の受動喫煙対策が揺らいでいる。健康増進法の改正で、同省は喫煙可能な飲食店の面積を当初案より拡大する方向で調整していることが判明。原則禁煙にこだわった塩崎恭久前厚労相が退いたため、規制に後ろ向きな自民党との妥協が進んだとの見方もある。海外では法規制が進んでおり、禁煙推進派から「日本は最低レベル」との批判が強まりそうだ。

 「嫌な予感がしていた。典型的なざる法になるのではないか」。喫煙を認める店舗面積を当初の三十平方メートルから五倍の百五十平方メートルに広げる厚労省案が明らかになったことに、たばこ対策に詳しい産業医大の大和浩教授は憤る。

 対策を巡っては、厚労省と「吸う権利」を掲げる自民党のたばこ議員連盟(会長・野田毅税制調査会最高顧問)との間で厳しい交渉が繰り広げられてきた経緯がある。

 今年の通常国会に健康増進法改正案を提出する計画だった厚労省は三月、改正案の骨子を公表。建物内は原則禁煙とし、小規模なバーなどに限って例外として喫煙を認める内容には、塩崎氏の強いこだわりがにじんでいた。

 しかし、この方針を知ったたばこ議連のメンバーらは猛反発。同月の臨時総会では「分煙で十分」「たばこは禁止薬物ではない」などの反対意見が噴出した。自民党は茂木敏充政調会長(当時)の指示で新たに折衷案をまとめたが、塩崎氏は同意せず、改正案の提出は見送りになった。

 八月の内閣改造で塩崎氏に代わって就任した調整型とされる加藤勝信厚労相は「(改正案を)できるだけ早期に提出できるように取り組む」と話すが、時期は明言していない。仕切り直して、厚労省と党の擦り合わせを水面下で進めているためだ。

 ただ、時間の余裕はない。「二〇年に実施するなら、周知期間を考えると、来年の通常国会で成立させなければならない」と厚労省の担当部局は危機感を募らせるが、政府は働き方改革関連法案を優先する方針。「喫煙対策を議論する余裕はない」(自民党議員)との声が漏れる。

 海外では既に約五十カ国が職場や飲食店など、公共の場所での屋内喫煙を法律で禁止。世界保健機関(WHO)は日本に「たばこのない五輪」への取り組みを求めたが、政府の動きは鈍い。五輪開催地東京都の小池百合子知事は、不特定多数が利用する施設を原則、屋内禁煙にする、国よりも踏み込んだ条例を年度内に都議会に提案する方針だ。新たな厚労省案について小池氏は十六日、「広さで言うと、かなり甘いという印象だ」と語った。

 

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