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【政治】

首相「対北で具体的行動」 所信表明 政治不信には触れず

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 安倍晋三首相は十七日午後の衆院本会議で所信表明演説を行った。北朝鮮問題で「あらゆる事態に備え、強固な日米同盟の下、具体的行動をとっていく」と核・ミサイル開発の放棄や日本人拉致問題の解決に向け圧力を強める姿勢を強調。改憲については、与野党の枠を超えた建設的な政策論議を訴え、野党に参加を促す。 (横山大輔)

 首相や周辺の関与が指摘される森友・加計問題や政治の信頼回復には触れない。

 首相は演説で北朝鮮問題を巡り、今月来日したトランプ米大統領やアジア歴訪で会談したロシアのプーチン大統領、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席ら各国首脳との間で「緊密な協力を確認した」と説明。「ミサイル防衛体制をはじめとする防衛力を強化する」と打ち出す。今年一月の施政方針演説では、有事に備えた防衛力整備には言及しなかった。

 改憲については「困難な課題に答えを出していく努力の中で、憲法改正の議論も前に進むことができると確信している」と意欲を示す。

 首相は北朝鮮問題と並び少子高齢化を「国難」と位置付けており、衆院選で自民党が公約した二〇二〇年度までに三〜五歳のすべての幼児教育・保育を無償化し、ゼロ〜二歳も所得の低い世帯の無償化を実現させる考えを表明する。待機児童解消を目指す決意も示し、三十二万人分の新たな保育の受け皿整備や、一九年十月に予定する消費税率10%への引き上げの増収分を、子育て支援に振り向ける方針をあらためて説明する。

 経済政策では、米国を除く十一カ国による環太平洋連携協定(TPP)の早期発効を目指すと強調。欧州連合(EU)と大枠合意した経済連携協定(EPA)を「新しい(成長の)エンジン」と評価する。

 首相は衆院に続いて参院本会議でも演説する。今回の演説は、所信表明では安倍政権で最も少ない約三千五百字。平成になってからは、〇五年の小泉純一郎首相の約三千二百字に次ぐ短さ。演説に対する衆参両院の各党代表質問は二十〜二十二日に行われる予定。

◆短い演説 戦略なく

<解説> 安倍晋三首相は所信表明演説で、先の衆院選の結果は「国民の意思」であり、政権は「国民の信任」を得たと強調する。自民党は単独過半数を獲得し、公明党と合わせた与党では三分の二を超える議席を確保。「安定した政権基盤の下で、政策をひたすらに実行せよというのが、国民の意思だ」と自信をのぞかせる。

 それなのに演説は短い。二〇二〇年度までの待機児童解消など衆院選で公約した数値目標は取り上げるが、ほかは政策項目の羅列にとどまる。

 改憲への言及は、野党に議論への参加を促す一言だけで自民党総裁として示した自衛隊の存在を明記する案や目標時期に触れない。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮については真っ先に説明するものの、圧力強化の先にどんな戦略を描いているかは語らない。東京電力福島第一原発の廃炉をどう進め被災地の暮らしをどう立て直すのかも見えない。

 政府関係者は、今国会は提出法案が少なく、会期も十二月九日までのため演説が簡素になったと指摘。詳しい説明は来年一月の通常国会で、一年間の政権運営方針を語る施政方針演説で行うと見通す。

 だが、有権者は衆院選で政権にすべてを白紙委任したわけではない。与野党を問わず、国会議員も「国民の信任」を得て当選した国民の代表だ。首相には国会で一つ一つの政策を丁寧に語り、具体的な道筋を示す責務がある。 (篠ケ瀬祐司)

 

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