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【政治】

子ども関連予算 低水準 「社会支出」手厚い欧州と比べ

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 安倍晋三首相が「国難」と位置付ける少子高齢化問題。解決策として高齢者中心の社会保障制度を「全世代型」へ転換すると説明したが、出発点は二〇〇九年に誕生した民主党政権の時といえる。子ども関連の予算を大幅に増やし、財源に消費税を使えるようにしたからだ。だが、諸外国と比べ、今なお投資額は少ない。 (安藤美由紀、柏崎智子)

 〇四年版から発行されている少子化社会対策白書によると、各省庁の少子化社会対策関係予算の合計額は、〇九年度までは一兆円台で推移。民主党政権が誕生した直後の一〇年度予算で、所得制限のない子ども手当や公立高校の実質無償化の創設により、約二兆円憎の三兆五千億円へと急増した。自民党が政権に返り咲いた後も一定の水準を維持し、一七年度は四兆三千二百八十九億円まで伸びた。

 財源面の転換点になったのが、消費税率を10%に引き上げることで民主、自民、公明の三党が合意した一二年の「社会保障と税の一体改革」だ。

 一体改革では、消費税率を段階的に10%まで引き上げるとともに、子ども・子育て支援の予算の財源として初めて消費税を充てる方針を明記。10%の引き上げ時に、七千億円を振り向けることを決めた。

 安倍政権は想定を前倒しする形で、税収増分などを財源に一七年度予算に七千億円を計上。さらに上積みし、二〇年度までの幼児教育・保育無償化の実現を目指している。

 だが、政府予算を含む社会全体の支出の割合から見ると、諸外国に比べ日本は依然として低い。

 経済協力開発機構(OECD)基準による日本の年金や医療保険などの「社会支出」総額は、一五年度で百十九兆二千二百五十四億円。政策分野別では「高齢」が五十五兆三千五百四十九億円で46・4%を占め、未就学児向けの「家族」は5・8%の六兆九千六百八十七億円。「高齢」の一割程度にとどまる水準だ。

 国の規模に対する社会支出の割合が日本に近い英国は、一三年度時点で「高齢」の31・9%に対し「家族」は16・7%と手厚くなっている。

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◆「待機児童対策優先を」小宮山洋子元厚労相に聞く

 2012年に民主、自民、公明3党が「社会保障と税の一体改革」で合意した当時、厚生労働相だった小宮山洋子氏に、目指した将来像などを聞いた。 (安藤美由紀、柏崎智子)

 −改革の目指したところは何だったのか。

 「財政状況が悪い中、社会保障費は増え続けている。給付に比べて国民の負担が少ないのが原因で、消費税率を引き上げて負担のあり方を見直そうとした。増収分は(借金の一部返済を含めた)社会保障費に全額充てる、とした。使途も従前の年金、医療、介護に子育てを加えて社会保障四経費とした。まさに『全世代型』といえる」

 −実際には待機児童は想定より大幅に増え、保育士給与も依然として低い。

 「難しい問題だが、実現しなければ安倍晋三首相が掲げる女性活躍もあり得ない。保育園を増設しても、保育士がいなければ運営できず、処遇改善も必要だ」

 −働く母親らの間には、幼児教育・保育の無償化より、待機児童問題の解消を求める声が強い。

 「教育予算も諸外国に比べて低いのは事実だが、低所得者は実質的に無償化されており、待機児童問題解消の方が優先ではないか。消費税は全て社会保障に充てると(三党で)合意したのに、そこから無償化の財源を取るならおかしい」

 <こみやま・ようこ> 1948年、東京都生まれ。NHK解説委員を経て98年参院選で初当選。衆院に転じた後、2011年に厚労相就任。12年衆院選で落選し、政界を引退。現在は長野県軽井沢町で子ども食堂「あたしキッチン」を主宰するなどボランティア活動に力を入れている。

 

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