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【政治】

ALS治療薬開発へ基金 宇宙兄弟 夢を現実に

ALS患者と家族が仲間に支えられながら生きる姿も描く漫画「宇宙兄弟」=(C)小山宙哉/講談社

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 宇宙飛行士になるという子どもの頃からの夢を実現させた兄弟の姿を描く人気漫画「宇宙兄弟」。筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した父を持つヒロインが、宇宙でALSに効く薬を開発する姿が描かれているのも特徴だ。作者の小山宙哉(ちゅうや)さんはALS患者に何度も話を聞き、交流を深めてきた。そして宇宙兄弟として実際にALSに効く薬を開発しようと、基金を設立した。寄付は1000万円に上る。15日に助成する研究者を決定する。 (城島建治)

 ヒロインは「伊東せりか」。子どものころ、父親がALSを発症した。父のように苦しむ人がいなくなってほしいと医師になり、宇宙空間でALS治療薬の開発を目指して宇宙飛行士に。国際宇宙ステーション(ISS)で実験に成功する−というストーリー。ALSを発症しながら、月に天文台の設置を目指す女性天文学者も登場する。

 基金は「せりか基金」。小山さんの活動を支える作家エージェント会社「コルク」が宇宙兄弟ALSプロジェクトとして、小山さんの協力を得て今年五月に設立した。ホームページを立ち上げ、Tシャツなどチャリティー商品を掲載。約二千人が寄付を申し出て、総額は一千万円に上る。寄付はホームページからできる。

 基金代表の黒川久里子さんは「『宇宙兄弟でALSを初めて知った。できることをしたい』といった声が寄せられている」と話す。

 小山さんは「せりか基金はALSを治せる病気にすることが目的。宇宙兄弟で描いた未来予想が、一日でも早く実現することを願っている」としている。

 せりか基金は十五日、ALS治療薬の開発を目指す研究者二人を選び、八月末までに集まった計五百五十万円を助成する。来年以降も毎年十二月に研究者に寄付金を助成する。

 小山さんのALSに対する理解を深めているのが、障害を理由に国会への出席を一時拒否されたALS患者の岡部宏生(ひろき)さんたちだ。岡部さんは「宇宙兄弟は私たち患者に夢を与え、精神的な支えになっている。多くの人が基金に賛同してくれて、うれしい」と話す。作品には、岡部さんをはじめ実在する患者と家族をモデルにした人物が登場する。

 <宇宙兄弟> 子どものころから宇宙飛行士を目指していた兄弟が、困難に直面しても仲間に支えられ、成長する姿を描いた作品。講談社の漫画雑誌「モーニング」で連載中。アニメ化、映画化され、単行本の累計発行部数は1900万部を超える。

 <筋萎縮性側索硬化症(ALS)> 全身の運動神経が侵されて筋肉が縮み、次第に身体を動かせなくなる難病。原因は不明。治療法も見つかっていない。

 

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