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【政治】

辺野古反対の稲嶺氏敗北 名護市長に政権支援新人

沖縄県名護市長選で初当選を決め、万歳する渡具知武豊氏

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 沖縄県名護市辺野古(へのこ)への米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う新基地建設が最大の争点となった名護市長選は四日投開票の結果、移設を進める安倍政権が支援し、推進の立場で活動してきた元名護市議の無所属新人渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏(56)=自民、公明、維新推薦=が、反対を訴えた無所属現職稲嶺進(いなみねすすむ)氏(72)=民進、共産、自由、社民、沖縄社大推薦、立民支持=を破り初当選した。 

 稲嶺氏は前回二〇一四年市長選で対立候補に四千百票余りの差をつけて当選したが、今回は約三千五百票差で敗れた。投票率は76・92%で、前回を0・21ポイント上回った。

 安倍晋三首相は五日、官邸で記者団に「市民の理解をいただきながら、最高裁判決に従って進めていきたい」と、新基地の建設推進を表明した。「本当に勝って良かった。県民の気持ちに寄り添いながら、さらなる沖縄の発展を全力で支援していく」と強調した。

 新基地建設反対を掲げる翁長雄志(おながたけし)知事が全面支援した稲嶺氏の敗北で翁長氏の求心力低下は避けられず、十二月に任期満了を迎える知事選に影響しそうだ。

 政権は、市長選を知事選の前哨戦と位置づけ、新基地反対派の弱体化を図るために与党幹部や閣僚を相次ぎ投入し総力戦の態勢で臨んだ。前回選で自主投票とした公明党県本部は、今回は渡具知氏を推薦し、支持団体の創価学会が組織力を発揮したことで、接戦が予想された選挙戦を制した。

 渡具知氏は移設に関し記者団に「国と県が(裁判で)係争中なので注視していく」と話した。政府との関係には「要人の心ない発言もあり、市民との認識に乖離(かいり)がある。一定の距離を置かなければいけない」と明言し、反対派への配慮を表明した。稲嶺氏は「移設問題を強く訴えたが、なかなか争点となり得ず、はぐらかされた」と語った。

 翁長氏は移設問題への対応について「これからいろいろ相談してやりたい」と話すにとどめた。次期知事選に関しては「その時々の判断になる」とした。

落選が決まり、うつむく稲嶺進氏=4日夜

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 渡具知氏は選挙戦で移設の賛否には触れず、米軍再編交付金によるまちづくりや教育、医療の充実を訴え、移設阻止にこだわり市民生活が放置されているとして稲嶺氏を批判した。稲嶺氏は渡具知氏が新基地建設への態度を明らかにしていないと主張したが、及ばなかった。

◆「白紙委任」ではない

 沖縄県名護市長選で安倍政権が支援した渡具知武豊氏が初当選したのは、国とタッグを組んで地元経済の振興が進むことに対する有権者の期待の表れだ。

 だが渡具知氏は選挙戦で、同市辺野古への米軍新基地建設の争点化を避けた。政府が建設推進への「白紙委任状」を得たわけではない。

 二〇一〇年に基地建設反対を訴えた稲嶺進氏が初当選後、同市への米軍再編交付金の交付が止まった。渡具知氏陣営は、地域経済が停滞したと指摘。渡具知氏は交付金を受け取る意向をにじませ、教育や福祉の充実を訴えた。自民党に加え、前回自主投票の公明党の推薦も得た。経済活性化と政府・与党との近さを強調する戦術が奏功した。

 名護市民は約二十年間、新基地建設の賛否を巡り二分されてきた。一四年の知事選で反対派の翁長雄志氏が勝利しても工事は進んでいる。基地を望まない人の間にも「分断疲れ」や無力感が広がったとみられる。

 政府・与党は「地元の民意を得た」と新基地建設を加速化する構えだ。一方、稲嶺氏は約45%の票を集めた。昨年の衆院選では、沖縄県内四小選挙区のうち三小選挙区で反対派が当選。相次ぐ米軍機事故への県民の怒りも大きい。県が国を相手取って工事差し止めを求めた訴訟も進行中だ。政府はなお、市民の声に耳を傾ける必要がある。 (篠ケ瀬祐司)

◇名護市長選確定得票

当 20,389 渡具知武豊 無新 =自公維

  16,931 稲嶺進 無現 =立民共由社沖

    ◇

渡具知武豊(とぐちたけとよ) 56 <1>

(元)保険代理店業・市議▽第一経済大                

 

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