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【政治】

在宅医療・みとり推進 診療報酬改定 かかりつけ医を強化

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 厚生労働省は七日、医療機関に支払う診療報酬の四月からの改定内容を決めた。高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせる仕組みづくりを掲げており、介護と連携して在宅医療や施設でのみとりを進める。高齢で慢性疾患を抱える患者の増加を背景に、ニーズに合わせた病床再編を促し、かかりつけ医の役割を強化する。医療費抑制につなげたい考えだ。

 加藤勝信厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が答申した。

 高齢化で死亡者が増えており、自宅や介護施設でのみとりをしやすくする。現在、特別養護老人ホーム(特養)の患者を外部の医師がみとる場合、特養が介護報酬の加算を取ると医師は診療報酬の加算を受けられないが、医師も報酬をもらえるようにして訪問診療の担い手を増やす。

 情報通信技術(ICT)を活用してテレビ電話などで患者を診る「遠隔診療」の報酬を新設。過疎地や離島といった医療機関や医師が不足している地域で在宅でも診療を受けられるようにする。

 身近な診療所にかかりつけ医として日常的な診察を担ってもらい、先端医療を担う大病院との役割分担をさらに進める。今回の改定では、訪問診療や夜間・休日に対応するかかりつけ医を対象に初診時に八百円を上乗せする(自己負担は最大三割)。一方、紹介状なしで大病院を受診した人に五千円以上の追加負担を求める制度は、対象病院を五百床以上から四百床以上に拡大。二百六十二カ所から約四百十カ所に増える。

 重症患者向けの「急性期病床」は現在、看護師の配置人数が多いほど高い報酬を支払っている。重症者の割合や治療内容で段階的に配分する仕組みに改め、ニーズが高い慢性疾患を抱える人向けの病床への転換を促す。病院前で営業する「門前薬局」は、利益が大きい大手薬局グループの報酬を引き下げる。

 診療報酬は原則二年に一回改定され、二〇一八年度は昨年末に全体で0・9%(薬価制度の改革分を含めると1・19%)のマイナスと決まった。今回は三年に一回の介護報酬との同時改定。

◆医療と介護 連携不可欠

<解説> 厚生労働省が診療報酬改定で、在宅医療や介護施設でのみとりの強化に取り組むのは、団塊の世代が全員七十五歳以上になる二〇二五年が目前に迫り、変化する医療ニーズへの対策が急務となっているからだ。この課題をクリアするには、医療と介護の連携強化が不可欠だが、目新しい政策が打ち出されたとは言い難い。

 今後、加齢による慢性疾患を抱えて暮らす高齢者が増え、重症患者向けの急性期病床よりもリハビリや在宅医療の体制整備が求められる。既に日本は「多死社会」に突入し、十年も待たずに年間の死者が百五十万人を超える。現在は八割近くが病院で亡くなっているが、病院でのみとりの対応も間もなく限界が来る。

 二五年を前にした診療報酬と介護報酬の同時改定は、実質的に今回が最後となる。中医協では、委員がそれぞれの団体の利益を主張するばかりで、連携強化の議論が深まることはなかった。高齢者が暮らし慣れた地域で住み続けることができる「地域包括ケアシステム」の実現に向け、厚労省を中心に、医療と介護の垣根を低くする努力を続けるべきだ。 (共同・筋野茜)

<診療報酬改定> 公的医療保険を利用して受ける医療サービスの対価として、病院や薬局などに支払われる公定価格「診療報酬」を見直すこと。手術や検査など個別に単価が決まっており、原則2年に1回改定される。医師や薬剤師の技術料や人件費に当たる「本体部分」と、薬や医療材料の価格である「薬価部分」を合わせた全体の改定率は政府の予算編成で決まる。個別の単価は中医協の検討を経て決定する。

 

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