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【政治】

自民、「合区」解消条文案を了承 都道府県に1人以上

 自民党の憲法改正推進本部は十六日午前の全体会合で、参院選「合区」解消のための条文案を初めて示した。衆参両院の選挙について定める四七条を改め、参院選挙区では改選ごとに各都道府県から少なくとも一人以上選出できると規定するのが柱。出席者から目立った異論はなく、内容を了承した上で、細田博之本部長に今後の対応を一任することを決めた。

 昨年十月の衆院選で自民党が公約に掲げた改憲四項目のうち、条文案が大筋で固まったのは初めて。執行部は来月二十五日の党大会までに、憲法九条への自衛隊明記など残る三項目の意見集約を図る。

 合区解消の条文案は、選挙に関する事項を法律で定めるとした現行の四七条の前段に、参院議員について「広域の地方公共団体」を選挙区とする場合、「改選ごとに各選挙区で少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる」などと追加。「広域の地方公共団体」が都道府県を指すと明確化するため、地方自治の基本原則を定めた九二条へ新たに定義を盛り込んだ。

 推進本部の岡田直樹事務局長は会合後、条文案に基づき都道府県の選挙区に配分される改選定数一について「人口比例(投票価値の平等)の要請の適用除外となる」と記者団に説明。二〇一九年夏の参院選で合区を解消するため「憲法改正を急ぐのは当然だ」と強調した。

 一六年の前回参院選で導入された合区を巡り、改憲で解消すると主張する政党は自民党以外にない。

◆自民改憲本部の合区解消条文案

 自民党憲法改正推進本部が16日示した参院選「合区」解消の条文案は次の通り。(【 】は現行条文)

【 四七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。】

 四七条 両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる。

 前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

【 九二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。】

 九二条 地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。

◆一票の不平等解消へ導入

<参院選「合区」> 参院選での「一票の格差」拡大により最高裁で「違憲状態」の判決が出たことを受け公職選挙法が改正され、2016年の参院選で初めて導入。人口の少ない鳥取、島根両県と徳島、高知両県を、それぞれ一つの選挙区に統合した。一票の格差是正に関しては、19年参院選までに抜本的な対策が求められている。

◆思惑優先、論点深まらず

<解説> 年内の改憲案の国会発議を目指す自民党が十六日、参院選「合区」解消のための条文案を固め、来月二十五日の党大会をめどとする「新憲法草案」(安倍晋三首相)づくりに弾みをつけた。「本丸」と位置付けられる九条への自衛隊明記に向けた議論も加速する見通しだ。

 参院選「合区」解消は、先の衆院選公約で掲げた改憲四項目のうち、異論が最も少ないテーマ。地方を金城湯池としてきた自民党には、人口減少で地方の議員定数が一方的に減る現状への危機感があった。

 党憲法改正推進本部の幹部は、次期参院選が来年夏に迫っていることを受け、近く各党との協議を始め、早期の国会発議にこぎ着けたい考えを明らかにした。

 しかし党の「思惑」優先で条文化を急いだことで、投票価値の平等を要請する憲法一四条との関係など、重要な論点が深まっていないのも事実だ。与党の公明党すら「『一票』は平等でなければならない」(北側一雄副代表)と慎重な姿勢を崩していない。

 九条に先立って条文化された「合区」解消ですら、衆参両院で三分の二の賛同を得るのは容易でない。 (生島章弘)

 

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