東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

国の人権侵害招く恐れ 「緊急事態」自民改憲条文案

写真

 自民党憲法改正推進本部で七日、細田博之本部長が有力候補として示した緊急事態条項の条文案は、迅速な対応が必要な大規模災害の際、内閣への権限集中や私権制限を認める内容だ。時の首相のさじ加減一つで、国家による深刻な人権侵害を引き起こす恐れがある。

 「予想せざる問題が起きたとき、政府が責任を持って対応できる体制を取っておく。憲法という基本法にきっちりと定めておく方が民主主義、統治の原理から見て適切だ」

 細田氏は全体会合の冒頭でこう力説した。

 細田氏らが考える緊急事態条項の柱は、内閣に法律と同じ効力のある政令制定を認めること。非常時であることを理由に、全国民を代表する国会議員のチェックを一切受けることなく、国民の権利を制限できるようになる。事後の国会承認を義務付けても乱用防止につながる保証はない。執行部は当初、国会議員の任期延長特例に限る考えだった。改憲発議をするのに不可欠な存在である公明党が、内閣の権限強化や私権制限に強い拒否感を示しているからだ。

 だが、一月三十一日の同本部全体会合では、任期延長特例に絞ることに「自分たちの身分を守ることだけが目的と誤解される」と異論が噴出。内閣の権限強化などを含む二〇一二年の党改憲草案への支持が相次ぐ、想定外の展開となった。

 他党との合意形成を重視する姿勢が、党内の不満を増幅させていると見た執行部は、今月二十五日の党大会が迫っていることを踏まえ「あるべき姿を訴える」(推進本部幹部)方針に転換した。

 どのような状況を緊急事態と認定するかも焦点。執行部は「戒厳令のようなイメージを持たれると国民に不安を与える」として、大規模災害に限定したい考えだが、七日の全体会合では、武力攻撃や内乱も含めるよう求める声が強かった。一任を受けた細田氏が、こうした意見を踏まえて範囲を広げる可能性もある。

 もっとも、こうした案を公明党などが受け入れる可能性は低い。自民党内の声に配慮して盛り込んだとしても、政党間協議の段階で削除されることも想定した「のりしろ」との見方も出ている。 (生島章弘)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報