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【政治】

森友文書改ざん 民主主義の根幹揺らぐ

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 森友学園への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書を改ざんする前代未聞の行為があったことを安倍政権が認めた。国民の代表で構成する国会に改ざんした文書を示して欺こうとしたことは、国民への背信にほかならず、民主主義の根幹を揺るがした。安倍晋三首相の政治責任が問われる。 (金杉貴雄)

 決裁文書の改ざん前後を比べると、財務省が首相の妻昭恵氏の関与を意識した結果、格安での払い下げが実現したのではないかという問題の根幹が浮き彫りになる。改ざん前の文書で、昭恵氏の名は三カ所出てくる。改ざん後は昭恵氏の記述が全て消されていた。

 改ざん前の文書で時系列に出来事を並べれば、財務省が昭恵氏の名前に影響された流れも見える。財務省は、昭恵氏の名前が出る直前まで学園との早期契約を拒んでいたが、昭恵氏の名前が出た直後の会合で、学園が当初望んだ土地の貸し付けに「協力させていただく」と態度を一変させた。

 首相は払い下げ問題の発覚後、昨年二月十七日の衆院予算委員会で「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」と言明した。もはや、昭恵氏の「関係」を否定することには無理がある。首相が国会で事実と異なる説明をし、軽率に自身の進退に言及したとの批判は免れない。

 改ざん前の決裁文書によると、財務省は首相答弁の当時、昭恵氏の名前が国有地売却の経緯の中に明記されていたことを認識していた。直後の二月下旬から四月にかけ、昭恵氏の名前を文書から消した。首相の国会答弁に合わせ、昭恵氏の名前を隠したのではないかと国民が疑っても当然だ。

 時の政府に公文書の改ざんを許せば、国会での政府の説明や与野党の議論の信頼性が損なわれ、国民は政策判断の妥当性やプロセスを公平に評価する材料を失う。仮に文書改ざんが昨年明らかになっていれば、首相は衆院解散に踏み切れただろうか。その意味で、歴史の書き換えと言っても過言ではない暴挙だ。

 首相は十二日の自民党役員会で、改ざん問題に関し「国会審議で説明責任を果たしたい」と語った。首相からこの言葉を聞くのは何回目だろうか。反対の強い法案を強行採決したり、自身や閣僚に絡む問題が発覚したりするたびに、同種の発言を繰り返したが、十分な説明を避けてきた。この姿勢を変えなければ、背信行為を重ねることになる。

 

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