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【政治】

消費者保護の検討会設置へ 「18歳成人」22年施行目指す

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 政府は十三日、成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法改正案と関連法の改正案を閣議決定、国会に提出した。今国会で成立させ、二〇二二年四月施行を目指す。十八歳を成人年齢とする国は多く、大きな異論はないとみられるが、悪質契約からの若年層保護の在り方などが議論になりそうだ。政府は民法改正後、二十歳未満から十八歳未満に適用年齢を引き下げる少年法改正を検討しているが、反対意見は根強い。

 成人年齢引き下げは、既に十八歳以上に引き下げた選挙権年齢と合わせ、少子高齢化が進む中で若者の積極的な社会参加を促す政策の一環。

 引き下げの議論は、憲法改正手続きを定める国民投票法が成立した〇七年に本格化。同法の付則に成人年齢見直しが明記され、諮問を受けた法制審議会は〇九年十月に「引き下げが妥当」と答申したが、関係する法令が多く、改正案の国会提出がずれ込んでいた。

 不安をあおる商法や恋愛感情を利用するデート商法などで結んだ契約を取り消せる規定を盛り込んだ消費者契約法改正案と共に今国会で審議される。政府は近く消費者被害拡大防止策などを議論する省庁横断型の検討会を設置する予定だ。

 一方、少年法については、一七年二月に当時の金田勝年法相が十八歳未満への適用年齢引き下げを法制審に諮問し、現在も議論が続いている。政府内には民法改正と合わせ、二二年に同時施行したいとの考えもあるが、日弁連を中心に「更生の機会が奪われる」といった反対も多く、意見の集約は難航しそうだ。

◆若者狙う悪質商法懸念

 成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法と関連法の改正案が十三日、国会に提出された。引き下げに当たっての懸案は、悪質商法からの若者保護だ。一足先に国会へ提出された消費者契約法改正案では、不安をあおるなどして結んだ契約を取り消せる規定を盛り込んだが、専門家からは「対策が不十分だ」との指摘が出ている。

■取り消し権

 「新たに成人となる若者を狙った消費者被害が増える可能性がある」。仙台市で七日に開かれた成人年齢引き下げの問題点を議論するシンポジウム。弁護士が市民らに懸念を訴えた。

 成人年齢が引き下げられると、十八、十九歳も親の同意なくローン契約を結んだり、クレジットカードを作成できたりする。

 社会経験の乏しい若者保護のため、内閣府消費者委員会の専門調査会は、消費者契約法改正案の内容を議論。不安をあおる商法や、恋愛感情を利用するデート商法など、悪質な手法によって結ばれた契約は取り消せる規定が必要との報告書をまとめた。

 調査会では二十歳未満や高齢者を対象に「年齢による判断力不足につけ込んだ契約」の取り消し権も追加すべきだとの意見があったが、自由な経済活動が妨げられるとの異論が出て、報告書には入らなかった。

■ターゲット

 国民生活センターによると二〇一一年度以降、十八、十九歳からそれぞれ年間五千件程度の相談が寄せられている。しかし、親の同意の必要がない二十〜二十二歳では、各相談件数が年間八千件程度に増加する。

 成人年齢を引き下げると、十八、十九歳が悪質業者の新たなターゲットになる恐れがあり、主婦連合会の河村真紀子事務局長は「高校生を含む十八歳で契約社会に放り出される影響は大きい。せめて二十歳未満の取り消し権は認められるべきだ」と訴える。

■消費者教育

 成人年齢引き下げに向け、重要になりそうなのは消費者教育だ。消費者庁は高校生向け教材「社会への扉」を作成。「商品を買ったが使う前に不要になった。解約できる?」「年利17%の返済総額は?」といったクイズを盛り込み、契約や融資の基礎知識を学べる内容で、一七年度は徳島県の高校で使用した。二〇年度中に全国の高校に活用を広げたい考えだ。

 ただ、「脱ゆとり教育」が進み、学習内容が増えている高校で、消費者教育にさらに時間を割くのは容易ではないとの声も出ている。仙台市のシンポジウムに参加した高校教員は「新指導要領への対応や研修に追われ、さらに消費者教育にも力を入れるよう言われても対応に限界がある」と困惑していた。

 

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