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【政治】

「戦える国」改憲で追認 「9条に自衛隊」自民決定

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 自民党憲法改正推進本部は二十二日の全体会合で、九条改憲に関し、戦力不保持を定めた二項を維持して自衛隊を明記する方針を決めた。執行部が具体的な条文案作成を含む今後の対応について、細田博之本部長に委ねることを諮り、一任取り付けを宣言した。これで、昨年十月の衆院選公約に掲げた改憲四項目の結論が全て出そろった。安倍晋三首相(党総裁)は二十五日の党大会で、改憲発議に向けた考え方を表明する見通しだ。

 執行部はこの日、二項を維持して自衛隊を明記する案に絞り、原案とともに二通りの代替案を新たに提示。自衛隊の説明として、原案にあった「必要最小限度の実力組織」という表現を改め、それぞれ「必要な措置をとる」「必要な自衛の措置をとる」に置き換えた。政府が自衛権行使合憲論の根拠とする最高裁判決の一節を引用した内容で、いずれも新設する九条の二に規定すれば、武力行使に関する現行憲法の制約は変わらないと説明している。

 三時間近くに及んだ会合では、新たな条文案を支持する意見が大勢を占めた。石破茂元幹事長ら一部議員は二項削除を訴えたが、党大会を控えていることから結論を出すよう求める声が相次ぎ、執行部は議論を打ち切った。

 細田氏は会合後、記者団に「必要な自衛の措置をとる」代替案を軸に調整する意向を表明。一方、意見集約に強く抵抗しなかった石破氏らに配慮して、各党との協議では自民党内に二項削除案という「有力な意見もあったことを伝える」とも語った。

 自民党は今後、各党に衆参両院憲法審査会の開催を働き掛け、改憲原案の早期提出にこぎ着けたい考え。推進本部幹部は近く、公明党に協力を要請する考えを明らかにした。

◆「戦力不保持」骨抜きの恐れ

 自民党憲法改正推進本部が二十二日、改憲四項目で最大の焦点だった自衛隊を明記する改憲案の一任を取り付けた。党執行部は、現行憲法に基づく武力行使の制約は維持されると強調するが、海外での武力行使が拡大し「平和憲法」を土台から揺るがしかねない危うさをはらむ。

 一任を得た執行部は条文案の作成に取り掛かる。戦力不保持を定めた現行の九条二項には手を付けず、新たに設ける「九条の二」に、首相を指揮監督者とすることなどを明示して自衛隊の保持を書く方針。これらにより、安倍晋三首相の主張通り「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と訴える考えだ。

 だが、当初想定していた「必要最小限度の実力組織」の文言は盛り込まない方針。党内で「防衛力を過度に制約しかねない」との意見が出たためだ。自衛隊の位置付けは「必要な自衛の措置をとる」と明記される方向だが、武力行使の歯止めが後退し、自衛権発動のハードルが下がる可能性もある。

 何より、自民党が書き込もうとしている自衛隊は、安倍政権が二〇一五年に成立させた安全保障関連法により、他国を武力で守る集団的自衛権を行使できる組織に変質している。自民党が目指す改憲は、違憲性が指摘される安保法を巡る現状を追認し、正当化することになりかねない。自衛隊の存在が憲法に明記されれば、二項の戦力不保持は空文化する恐れがある。 (生島章弘)

◇自衛隊明記条文3案

 自民党憲法改正推進本部が示した自衛隊を明記する条文三案は次の通り。

【原案】

 九条の二 (1)我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つための必要最小限度の実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

 (2)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

【代替案1】

 九条の二 (1)我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な措置をとることを目的として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

 (2)(原案と同じ)

【代替案2】=細田博之本部長が有力視

 九条の二 (1)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

 (2)(原案と同じ)

 

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