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【政治】

即位礼 来年10月22日 政府基本方針決定

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 政府は三十日午前、天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位に向けた式典準備委員会の第三回会合を首相官邸で開き、退位と即位に伴う儀式の形式や日程を盛り込んだ基本方針を決定した。即位の礼の中心的な儀式「即位礼正殿(せいでん)の儀」は来年十月二十二日に、憲法に基づく国事行為として行う。即位の礼後の最も重要な祭祀(さいし)である「大嘗祭(だいじょうさい)」は来年十一月十四日から十五日にかけて行う方向で調整。政府は基本方針を四月三日に閣議決定などをし、秋をめどに、首相を委員長とする「式典委員会」(仮称)を設置し、詳細を固める。 (清水俊介)

 基本方針は、各儀式を「憲法の趣旨に沿い、皇室の伝統などを尊重したものとする」と明記。即位関連行事については、一九八九年に即位した陛下の事例が「現行憲法下において十分な検討が行われた上で挙行されたことから、基本的な考え方や内容は踏襲されるべき」とした。

 「大嘗祭」は皇室の行事とする。憲法の政教分離原則に配慮し、国事行為としなかった前例に倣った。日程については、宮内庁が三十日の委員会で、来年十一月十四日から十五日にかけて行うのが望ましいと説明した。費用は前回と同様、国費である皇室の公的活動費「宮廷費」を充てる方針。前回は政教分離の観点から批判が上がった。

 即位の礼の儀式のうち、(1)皇位の証しの剣や御璽(ぎょじ)などを受け継ぐ「剣璽等(けんじとう)承継の儀」(2)即位後に三権の長ら国民の代表と会う「即位後朝見(ちょうけん)の儀」(3)新天皇が即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀」(4)皇居周辺をパレードする「祝賀御列(おんれつ)の儀」(5)祝宴の「饗宴(きょうえん)の儀」−は国事行為とする。

 基本方針は、退位に伴う「退位礼正殿の儀」を国事行為として、退位日の来年四月三十日に行うことも盛り込んだ。秋篠宮さまが皇位継承順位一位の「皇嗣(こうし)」になることを内外に示す「立皇嗣(りっこうし)の礼」は国事行為として二〇二〇年に行う。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は委員会後の記者会見で、剣璽等承継の儀の参列者については「平成の例を踏襲することを委員会で確認した。参加皇族は男性皇族になる」と説明した。この参列者については、政府内で前例を踏まえるべきだとする意見が強い一方、今の時代に合わないとして女性皇族も認めるべきだとする声もあった。

<解説>憲法と皇室伝統 両立を

 皇位継承に伴う儀式のあり方に関する基本方針では、即位儀式について平成への代替わりの流れを基本的に踏襲した。現行憲法下で初の代替わりとなった前回は憲法との整合性で訴訟も起きただけに、来年の代替わりでは、憲法の原則をより厳格に守ることが求められる。

 宗教色が濃い大嘗祭は前回、国事行為としない一方で、費用は国費を充てた。政府は皇位継承に伴う重要な儀式で公的性格が認められるとして支出を正当化したが、知事の参列などは政教分離原則違反とする訴訟が各地で起きた。

 いずれも請求は退けられたが、大阪高裁判決は「国家神道に対する助長、促進になるような行為として、政教分離規定に違反するのではないかとの疑義は一概に否定できない」と指摘した。

 政府は前回を踏襲して、来年の大嘗祭でも国費を充てる方針で、政教分離原則の観点から再び批判を受けることが予想される。

 国民主権の原則の観点も重要だ。皇室の伝統に敬意を払うのは当然だが、権威的に映れば、国民主権に反する恐れもある。

 即位礼正殿の儀では、首相が天皇より一段低い庭で万歳をするのが先例だった。前回は、当時の海部俊樹首相がそれを断り、陛下と同じ殿上で万歳をしたものの、国民主権に反するのではないかとの議論は避けられなかった。来年十月の儀式でも、この手順が大きな焦点となる。

 陛下は二〇〇七(平成十九)年の記者会見で「振り返ると、即位の時期が最も厳しい時期であったかと思います。日本国憲法の下で行われた初めての即位にかかわる諸行事で、さまざまな議論が行われました」と話された。

 皇位継承まで一年余り。国民の理解を得ながら皇太子さまが静かな環境で即位できるよう、政府は憲法の原則と皇室の伝統との両立を図り準備を進める必要がある。 (関口克己)

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