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【政治】

「越境入園」を促進 改正子育て支援法が成立

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 市区町村の枠を超えて保育施設への入所を促す改正子ども・子育て支援法が三十日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。四月一日に施行される。安倍政権は二〇二〇年度末までの待機児童ゼロを目指しており、実現に向けた具体策の一つ。待機児童の減少が期待される一方、関係者からは「詰め込み」など保育の質の低下を懸念する声も出ている。 (坂田奈央)

 改正法は「越境入園」を増やすため、都道府県ごとに調整機能を果たす協議会の設置を可能にする。協議会は、都道府県が中心となり、市区町村や事業者、有識者で構成。現在は、原則として保護者が暮らす自治体にしか利用を申請できないが、近隣や勤務先の施設に空きがあれば入所を後押しする。保育士の確保策や保育所の整備計画も協議会で話し合う見通し。

 保育の質の低下が懸念されるのは、金沢市など自治体の多くが保育士の配置や施設の面積を独自に手厚くしているのに対し、待機児童の減少を最優先して国の基準に引き下げる動きが拡大するとの見方からだ。これまでも国側は自治体に引き下げを働きかけており、協議会が基準緩和の推進役になるとの指摘がある。

 独自の基準を持つ東京都世田谷区の担当者は「緩和は質の低下だけでなく、不足する保育士の業務負担増につながる懸念もある。慎重に考えなければならない」と話す。

 子育て支援制度に詳しい保育システム研究所の吉田正幸代表は「市区町村によっては待機児童問題への意識が低く、利用者主体の発想でないところもある。そうした自治体が利用者側に立つように変わればいい」と改正法の効果に期待。一方で「基準を緩和して、一人でも二人でも入れるという発想では、抜本的な待機児童解消にはならない」と強調する。保育問題を追い続ける労働経済ジャーナリストの小林美希氏は「協議会が指令するだけの組織になるなら本末転倒。むしろ保育士の配置基準を引き上げ、処遇を改善し、五年、十年かけて安心できる保育所を整備すべきだ」と語った。

 改正法は、事業所などに併設する「企業主導型保育施設」の整備促進も柱。企業の拠出金負担率の上限を、現行の0・25%から0・45%へと段階的に引き上げ、財源に充てる。

 

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