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【政治】

過酷労働の懸念拭えず 残業代ゼロ、月100時間上限 働き方法案提出

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 政府は六日、「働き方」関連法案を国会に提出した。長時間労働を助長すると批判された裁量労働制の対象拡大を削除するなどの修正をしたが、残業時間の罰則付き上限規制の導入や、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」の創設が盛り込まれ、過酷な労働を招きかねない点や、実効性が疑わしい内容が目立つ。対案を準備している野党側と激しい論戦になりそうだ。

 法案は、労働基準法や労働契約法など計八本の改正案の一括法案。施行日は残業時間規制や残業代ゼロ制度、正社員と非正規社員との間で賞与や手当などで不合理な差別を禁止する「同一労働同一賃金」など内容ごとに異なり、労務体制が弱い中小企業は大企業より一年遅くなるものが多い。

 残業時間規制は一九四七年の労働基準法制定以来、初めて設ける。年間の上限は七百二十時間。繁忙期では月百時間未満、二〜六カ月は平均八十時間以内とする。長時間労働が特に問題視される建設、運輸、医師は五年間適用を猶予する。

 月百時間未満の残業は、厚生労働省が脳・心臓疾患を労災認定する目安で「過労死ライン」と呼ばれる水準。百時間に達しないケースでは、労災認定が難しくなる恐れがある。立憲民主党の対案は月八十時間未満とする方針だ。

 残業代ゼロ制度は、年収千七十五万円以上の金融ディーラーや研究開発職など一部専門職を労働時間規制から除外。残業代だけでなく、休日や深夜の割増賃金も支払われなくなる。野党の対案は同制度を盛り込んでいない。

 法案は、終業から再び始業するまでに一定の休息時間をおく「インターバル規制」も設けるが、「制度の普及に努める」として努力義務にとどめた。立民の対案や、民進、希望両党の対案は義務化する方向だ。

 残業時間規制について「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子代表は「法案の内容では過労死は防げない」と指摘。インターバル規制に関し、労働問題に詳しい上西充子法政大教授は「法案に明記されることは歓迎したい」としながら「努力義務では実効性に乏しい」と話す。 (木谷孝洋)

 

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