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【政治】

盲導犬「拒否」6割が経験 父危篤…病室入れず

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 盲導犬を利用している人の六割がこの一年間に、病院や飲食店で受け入れ拒否を経験したことが二十五日、日本盲導犬協会のアンケート結果で分かった。障害者差別解消法の施行から、四月で二年。法律は盲導犬の受け入れ拒否を不当な差別として禁じているが、公共施設でも事例があり、なお社会の理解が進んでいない実態が浮かんだ。(城島建治)

 アンケートは法施行二年を機に実施。三月に百九十五人を対象に電話で聞き取り調査を行い、百八十三人から回答を得た。

 「盲導犬を理由とする差別(受け入れ拒否)はあったか」との質問に「はい」と答えたのは59%の百九人。協会が前年に実施した同様の調査より4ポイント増えた。

 拒否の内訳は、飲食店などが最も多く二百八十九件。病院十五件。宿泊施設十三件と続いた。タクシーなどの乗車拒否は十一件。地方自治体は法律で差別解消を進める役割が規定されているが、神奈川県内の市民ホールなど、公共施設で七件の拒否があった。一年間に十回以上拒否された人は九人もいた。

 神奈川県内の女性(68)は二月、福岡県の父親(93)=当時=が危篤との知らせを受け、独立行政法人が運営する福岡県の病院を訪れたが、盲導犬を伴っての入室を拒否された。病院側は「前例がない」「他の患者の迷惑になる」などと理由を説明したという。

 女性が「押し問答している間に父に何かあったら、あなたを一生恨む」と言っても、返答は変わらなかった。女性は仕方なく夫と交代で病室に入り、一人は病院の出入り口付近で盲導犬と待機。協会が何度も電話で法律の趣旨を説明し続けると、四日後にようやく盲導犬の入室を認め、拒否したことを謝罪した。女性は本紙の取材に「父のそばにいられない間は不安でたまらなかった。本当に悔しくて、切ない気持ちになった」と振り返る。

 協会の安保美佳さん(33)は「盲導犬を拒否されると、利用者は自分が拒否されたと感じる。盲導犬と共に生きる決断そのものを否定されるからだ。それを理解してほしい」と話した。

 <障害者差別解消法> 2016年4月に施行された。障害のある人もない人も共に暮らせる社会を実現するのが目的。国の機関、地方自治体、民間事業者に対し、障害を理由とした差別を禁止し、合理的配慮を義務づけた。合理的配慮とは、車いす利用者のために建物入り口に段差スロープを設置するなど、障害者が社会生活を営む上で必要な対応を指す。

 

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