東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

<世界の中の日本国憲法>9条編(下) 「戦力不保持」 G7で唯一

写真

 日本が戦後七十三年間、海外で武力行使をしなかったのは「九条があったからこそだ」との回答は69%。「他の要因もあったからだ」は29%−。

 三〜四月に共同通信社が実施した世論調査で、戦後日本の平和はひとえに憲法九条のおかげとする国民意識がくっきり示された。

 九条の要となってきたのが「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とした二項。一項のように戦争放棄を定めるだけでは「自衛のための軍事行動」という理屈がつけられ、歯止めとして不十分だからだ。

 先進七カ国(G7)のうち、成文憲法を持たない英国を除く六カ国で「戦力不保持」を明記した憲法は日本だけ。米国、フランス、カナダ、日本と同じ第二次世界大戦の敗戦国であるドイツとイタリアは、憲法で軍隊について明記している。世界では、この型の憲法の方が圧倒的に多い。

 こうした国々が、自衛などの理由で軍事行動を行うのは珍しくない。米英仏三国は四月、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとして巡航ミサイルを発射。「主権国家への侵略」との批判も出た。韓国も、国軍の存在を憲法に明記。かつてベトナム戦争やイラク戦争に派兵した。

 憲法に明文規定はないが軍隊が存在するロシアやインドなどのケースも。日本のように戦力不保持を明記した憲法は極めて少数だ。

 同様の憲法を持つ国では、中米コスタリカが憲法一二条で「恒久的機関としての軍隊は禁止する」と規定。国は国家予算を医療や教育、福祉に回した。ただ、国防のために軍隊を組織できるとも規定しており、条文上は日本の九条二項の方が、より徹底している。

 ところが今、日本では安倍晋三首相らが自衛隊の存在を明記する九条改憲を目指す。現行の一項と二項は残すとしているが、死文化するとの懸念は絶えない。

 アジア太平洋法律家協会事務局長の笹本潤弁護士は「軍事力を使わずに戦争を防止する日本の基本政策は、国際政治に大きな影響を与え続けている」と指摘。日本は今、海外で武力行使をする国になるかどうかの分岐点にいると訴える。 (中根政人)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報