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【政治】

「残業代ゼロ」問題点次々 月200時間も厚労相「合法」

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 「働き方」関連法案の国会審議で、政府が創設を目指す「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」の問題点が明らかになってきた。高収入の一部専門職を対象に労働時間規制を撤廃する制度に対し、野党は「長時間労働や過労死を助長する」と反発。与党は来週にも法案を衆院通過させる構えだが、野党は高プロを導入する規定の削除を求めている。 (木谷孝洋)

 「残業に相当する時間が月二百時間を超えたら違法か、合法か」

 国民民主党の山井和則氏は十六日の衆院厚生労働委員会で、高プロが適用された人が法定労働時間(一日八時間)以外に月二百時間働いた場合、法律に反するかどうかをただした。加藤勝信厚労相は「直ちに違法ということではない」と説明、高プロでは残業に相当する時間が二百時間を超えても合法だと認めた。

 野党が残業時間にこだわるのは、今回の関連法案で罰則付きの上限規制が初めて導入されるからだ。法律が施行されれば、一般の労働者は月百時間未満しか残業できなくなり、違反した場合、企業は罰則を科せられる。高プロはこうした規制の「抜け穴」になることが鮮明になった。

 高プロの場合、実際に働いた時間が記録されなくなり、労災認定が難しくなる可能性もある。国民民主党の岡本充功氏は、高プロ対象者が過労死した場合、勤め先に「長時間労働は指導できなくなる」と指摘。厚労省の山越敬一・労働基準局長は「労働時間の上限がないので、その点は指導できない」と明言した。

 審議の焦点は、高プロで働き方がどう変化するかにも及んだ。政府は労働者の自律的な働き方を促すと主張するが、法案には仕事の裁量を働く人に委ねる規定はない。加藤氏が「省令で規定したい」と述べたのに対し、野党側は過大な業務を命じられ長時間労働になりかねないと反論した。

 法案を修正する動きも出てきた。高プロ適用には書面による本人の同意が必要だが、適用を撤回する規定はない。与党は日本維新の会の要望を取り入れ、本人が望めば適用を解除できるようにする方針。

 過労死遺族からは「会社に同意を求められたら断れない」との批判が出ており、望まない適用を防げるのかどうかは未知数だ。

 

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