東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

「残業代ゼロ」修正合意 同意撤回規定 行使に壁

 自民、公明両党と日本維新の会、希望の党の四党は二十一日、安倍晋三首相が今国会の最重要課題と位置付ける「働き方」関連法案に関し、「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」などを一部修正することで正式合意した。修正をしても過労死などを招く制度の危険性は変わらないが、与党は二十三日に衆院厚生労働委員会で、二十四日に衆院本会議で採決に踏み切る構えだ。

 高プロは、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す制度。修正案には高プロで働く人が制度適用への同意を、後に撤回できる手続きを明記するのが柱だ。

 撤回規定は、高プロが適用されるか否かは労働者の自由意思に委ねられていることを印象づける狙いがあるが、実効性には疑問がある。

 高プロは適用する際に書面などでの本人の同意が必要とされている。しかし、労使は対等ではなく、使用者側が圧倒的に強いのが現状だ。雇用主から高プロの適用を求められれば、労働者が拒否するのは難しい。撤回についても同様だ。

 国民民主党の大塚耕平共同代表は二十一日、記者団に「強い立場にある企業側から高プロを強要されるようなリスクがあり、そのもとで合意をして受け入れたとしても、そんな環境で簡単に撤回できるのかという話だ」と批判した。

 関西大の森岡孝二名誉教授(企業社会論)も「(労働者の)同意も撤回も制度の改善、問題点の解消には役立たない。自律的、自由な働き方をする労働者は極めて例外的に少数。大部分の労働者は指揮命令に服するしかない」と指摘する。

 高プロは、全ての労働時間規制を撤廃し、企業の残業代支払い義務を免除する制度。今回の修正でも制度の根幹は残ったままで、「過労死、過労自殺の温床になる」(連合の神津里季生(こうづりきお)会長)リスクは変わらない。 (編集委員・上坂修子)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報