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【政治】

働き方法案 衆院委可決 与党、29日の本会議通過狙う

衆院厚労委で野党委員が高鳥修一厚労委員長(右上中央)に詰め寄る中、「働き方」関連法案は可決された。左端は加藤厚労相=25日午後(小平哲章撮影)

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 安倍政権が今国会の最重要法案と位置付ける「働き方」関連法案は二十五日、衆院厚生労働委員会で自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決された。与党は二十九日の本会議で衆院を通過させ、参院に送付する考え。六月二十日までの会期内の成立を目指す。「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」に反対する立憲民主など野党六党派は「前代未聞の強行採決だ」(立民の辻元清美国対委員長)と猛反発した。

 これに先立つ衆院本会議で、野党六党派が二十五日午前に提出した加藤勝信厚労相の不信任決議案が与党などの反対多数で否決された。厚労委では国民民主党の岡本充功氏が質問を続けていたが、高鳥修一委員長(自民)が質疑を打ち切った。怒号の中、法案の採決が強行された。

 加藤氏は働き方法案の可決後「七十年ぶりの大きな改正だ。国民に理解してもらえるよう努力し、一日も早い成立を図りたい」と記者団に語った。

 加藤氏の不信任案の提出理由に絡み、厚労委の野党筆頭理事の西村智奈美氏(立民)は本会議で、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す高プロは「過労死を生み出す。削除すべきだ」と要求。法案作成の根拠の一つとなった厚労省の労働時間調査で多数の異常値が見つかっており「しっかりとした根拠に基づく議論ができない」と指摘した。

 法案は高プロや残業時間の罰則付き上限規制、正社員と非正規労働者の不合理な格差をなくす「同一労働同一賃金」を柱に構成されている。高プロの運用実態を把握することなどを盛り込んだ付帯決議も可決された。

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◆8法案一括化で審議深まらず

 衆院厚生労働委員会で二十五日、多くの野党が審議継続を求め「強行採決」と訴える中で可決された「働き方」関連法案は、労働者保護と規制緩和の両面で計八本に及ぶ法改正案を一本に束ねており、論点は多岐にわたる。しかし委員会での審議は、与党が採決の目安に置いた三十時間を一割程度上回る三十三時間余。時間の多くは厚労省の不手際の追及に費やしており、内容の議論が十分に尽くされたとは言い難い。

 法案の主な柱の中では、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高プロ」を巡って与野党が対立していたため、議論は高プロの是非に集中した。そのため、残業時間の罰則付き上限規制、非正規雇用の待遇改善を進める「同一労働同一賃金」といった他の柱に関するやりとりは低調に終わった。年次有給休暇の時季指定や、中小企業の割増賃金率の引き上げも重要な論点だが、ほとんど取り上げられなかった。方向性が違う制度の見直しをひとまとめにした弊害が出たと言わざるを得ない。

 加えて厚労省の労働時間調査にミスが次々と見つかり、全体の二割に上る約二千五百件のデータを削除する事態となった。野党は審議の中で「法案の前提が崩れた」と再調査を繰り返し求めたが、厚労省は応じなかった。二十五日にも新たに六件のミスが発覚。野党が精査を改めて求めても、加藤勝信厚労相は応じない考えを示し、与党はそのまま採決に踏み切った。

 衆院厚労委での可決を受け、与党筆頭理事で自民党の田村憲久元厚労相は「働く人の健康を守る意味で大きな改正」と、法案成立の必要性を記者団に強調。国民民主党の山井和則氏は本紙の取材に「法案の中身の議論になかなか入れなかった。時間が足りない中で過労死を増やす法案を強行採決するのはひどすぎる」と批判した。 (木谷孝洋)

◆働き方法案ポイント

一、残業の上限を「原則月四十五時間かつ年三百六十時間」と明記し、繁忙期も年七百二十時間までと規制。違反企業側に罰則。

一、正社員と非正規労働者の不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」を企業に義務付ける。仕事内容が同じなら、同じ待遇を求める。

一、高収入の一部専門職を労働時間規制や残業代の対象外とする「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」を創設。

一、高プロの適用後でも、本人の意向で撤回可能と明記(修正部分)。

一、残業上限規制の適用時期は大企業が二〇一九年四月、中小企業は二〇年四月から。

 

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