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【政治】

「拉致」正恩氏の反応不明 首相「日朝で解決」 圧力維持か対話か岐路に

トランプ大統領との電話協議を終えて記者の質問に答える安倍首相=12日午後、首相公邸で

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 十二日の米朝首脳会談で、トランプ大統領が北朝鮮による日本人拉致問題を提起したことについて、日本政府は評価する姿勢を示した。だが、北朝鮮は拉致問題を「解決済み」としてきており、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の反応は明らかにされていない。安倍晋三首相も日朝首脳会談も視野に、最終的には日朝間の対話で解決する問題としており、先行きは依然楽観できない。 (清水俊介)

 首相は十二日夕、米朝首脳会談について「北朝鮮を巡る諸懸案の包括的な解決に向けた一歩になると支持する」と表明。拉致問題については「日本が直接、北朝鮮と向き合い、二国間で解決しなければならないと決意している」と強調した。官邸で記者団に語った。

 首相は同日夜には、トランプ氏と電話協議。米朝首脳会談の内容の説明を受けた後、記者団に、会談での拉致問題のやりとりについて「詳細は言えない。私の考えはトランプ氏から金委員長に明確に伝えていただいた」とし、進展があったのかどうかは明らかにしなかった。

 シンガポール入りした金杉憲治外務省アジア大洋州局長も、拉致問題に関し「ボールが日本に戻ってきた。今後、日本が主体的に取り組みたい」と記者団に語った。

 首相は、拉致問題の解決について、五月のフジテレビ番組で「(政府認定の拉致被害者十二人)全員の即時帰国」と明言。一方、北朝鮮は十二人について「八人死亡、四人は入国していない」との立場で、日朝間では深い溝がある。

 トランプ氏と正恩氏が署名した共同声明には、朝鮮半島の非核化や北朝鮮の体制保証への言及はあるが、拉致問題には触れられていない。首相の重ねての要請で、トランプ氏が正恩氏に提起したとはいえ、北朝鮮がこれまでの姿勢を変える保証はない。

 米朝首脳会談を受け、北朝鮮が完全な非核化に向けて動きだせば、国際社会が制裁緩和に傾くことも予想され、拉致問題が解決しないことを理由に、日本だけが孤立する可能性もある。

 日本政府関係者は「十二人全員帰国だけが進展なのか。一人でも帰国するなら、進展として日朝首脳会談に踏み切るのか。首相の判断次第だ」と指摘。自民党の閣僚経験者は「日朝協議ができるための環境整備を相当やらないといけない」と、問題解決は容易ではないとの考えを示した。

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