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【政治】

民法改正18歳成人 低い関心 議論深まらず

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 改正民法が十三日に成立し、二〇二二年四月からは十八歳で「大人」になる。明治以来続いた大人の定義が変わるが、国民の関心が高いとは言えず、国会審議は注目されなかった。悪質商法の被害をいかに食い止めるかといった課題も、今後の政府議論に委ねられることになり、消化不良の感は否めない。政府は続いて少年法の適用年齢引き下げを目指すが、「急ぐ必要はない」と反発する声が出ている。

 ■低調

 「今なぜ、何のために改正を行うのか」。五月の衆院法務委員会。野党議員から成人年齢引き下げの必要性を問われた上川陽子法相は「参政権の年齢とできる限り一致しているのが望ましい」と答えるのがやっとで、説得力に欠けていた。

 成人年齢引き下げは、一六年施行の改正公選法で選挙権年齢を二十歳以上から十八歳以上にしてから議論が本格化。政府は「法制度の一貫性」を強調し、民法だけでなく、少年法の適用年齢も十八歳未満に統一したい考えだ。

 だが、国民の反応は低調だ。一三年の内閣府世論調査では、成人年齢の十八歳への引き下げについて「反対」と回答したのは「どちらかといえば」を含めて69%。共同通信の一六年の世論調査も反対68%で賛成の32%を大きく上回った。

 ■先送り

 〇九年に引き下げを答申した法制審議会は「自立を促すような施策や消費者被害拡大の恐れがあることへの解決に資する施策」が必要とし、引き下げ時期は「施策の浸透の程度や国民の意識」を踏まえるのが相当とした。

 政府は今月、消費者被害拡大を防ごうと、改正民法に先立ち、改正消費者契約法を成立させた。消費者庁や文部科学省は、高校生らへの教育を強化するとしている。

 ただ、日弁連は「懸念は払拭(ふっしょく)されていない」と主張。具体的な施策も、政府が設置した省庁横断の連絡会議での議論に委ねることになり、課題は先送りされた形だ。

 政府が次に引き下げを狙う少年法の適用年齢は、早ければ来年の通常国会で審議が始まる。現在、法制審議会の部会で議論しているが、反対意見も出るなど、早くも難航が予想される。

 少年法は、中高生らの凶悪犯罪が起きるたびに改正が繰り返され、厳罰化が進んだ。適用年齢が引き下げられれば、十八、十九歳は少年院送致など保護処分の対象でなくなり、二十歳以上と同じ刑事処分を受ける。

 ■結論ありき?

 少年犯罪被害当事者の会の武るり子代表は「選挙権も持ち、民法上の成人にもなった十八、十九歳が、少年法で守られたままというのは違和感しかない」と引き下げを支持。その上で「年齢だけでなく、少年の刑事裁判の在り方を含めた幅広い問題を、開かれた場で議論することに意味がある」と審議の充実を求める。

 一方、少年の刑法犯の検挙者数は減少傾向で、一六年は約四万人と、ピークだった一九八三年の六分の一以下。日弁連は、改正を急ぐ理由に乏しいと反発する。非行少年に対し、少年院が個々の成育環境に見合った生活指導を提供できる意義は大きいとみる声も強い。

 法務省幹部は「引き下げの結論ありきで進んでいることは否めない」と打ち明け、「少年法改正への国民の関心が高いことは承知しており、慎重な検討を続ける」としている。

 

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