東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

地方議員年金 提案を断念 与党方針 今国会、自民にも異論

 自民、公明両党は、二〇一一年に廃止された地方議員年金制度に代わる措置として地方議員が厚生年金に加入できるようにする法案の今国会提出を断念する方針を固めた。関係者が一日、明らかにした。新たな公費負担が生じるため、野党側からの反発に加え、自民党内でも小泉進次郎筆頭副幹事長ら若手が反対の勉強会を発足させるなど異論が根強いことを考慮した。

 法案提出を議論した自民党総務部会幹部は「国民の理解が得られないまま進めれば、来年の統一地方選や参院選に影響が出かねない」として、今秋に想定される臨時国会での提出も難しいとの見通しを示している。

 専業の地方議員は現状、基礎年金の国民年金にしか加入できない。法案は、議員を自治体職員とみなして厚生年金の加入資格を与えるようにする内容が柱。引退後の生活保障による議員のなり手不足解消を訴える地方議会の要請を受け、与党は議員立法で今国会に提出する方針を確認していた。

 ただ保険料は自治体と折半するため、試算では年約二百億円の公費負担が新たに必要で、日本維新の会などは「身を切る改革に逆行する」と強く批判している。自民党は、参院選「一票の格差」是正のため定数を六増する公選法改正案の成立を優先したい事情もある。自民党の政調会幹部は「地方議会の在り方を含めた議論に時間をかけ、理解を広げる必要がある」と語った。

◆年200億円公費理解得られず

 与党が地方議員年金を事実上復活させる法案の今国会提出を見送る方針を固めたのは、国民の年金を巡る厳しい現状を置き去りにした動きに、自民党内の若手や野党だけでなく、世論の理解も得られる見込みがないと判断したためだ。

 七年前に廃止された地方議員年金を事実上復活させる法案は、会社員らの厚生年金に地方議員の加入を認める内容。年二百億円に上る新たな公費負担は税金で賄うことになる。

 安倍政権は来年十月に、消費税率を10%に引き上げる方針を変えていない。少ない国民年金給付額に多くの高齢者が苦しむ中で地方議員年金が復活すれば、消費税増税に加え、地方議員年金の負担も強いられる。

 自民党は、地方議員のなり手不足解消を図るための年金復活と説明してきた。だが、地方議員も国民年金に加入しており、自民党の主張は、国民年金だけでは老後の暮らしは成り立たないと認めたに等しい。国民年金の給付水準が今のままでいいのかという議論を避けていては、国民の賛同を得られないのは当然だ。

 今回の動きは、同じく廃止された国会議員年金の復活に向けた布石との見方もある。与党が今国会の法案提出を見送っても、再び動きだす可能性はある。 (関口克己)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報