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【政治】

<核なき世界目指して> (2)交渉不参加で安全危うく

元米国防次官補 ローレンス・コーブさん

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 「核不拡散体制を損なう」「非現実」と核兵器禁止条約に背を向ける核保有国や日本。その姿勢を疑問視する声が米高官経験者からも上がっている。東西冷戦時代のレーガン米政権下で国防次官補を務めたローレンス・コーブさん(78)は、核兵器禁止条約の制定交渉にすら不参加だったトランプ米政権を「核戦争の恐れを減らすために何もせず、米国の安全を危うくした」と批判する。(ニューヨーク支局・赤川肇、写真も)

 −核禁条約は既存の核不拡散体制を損なうのか。

 「損なわない。そもそも米国はまだ包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准せず、核拡散防止条約(NPT)下でも北朝鮮のほかインドやパキスタンが核兵器を開発した。核禁条約が直ちに核兵器の廃絶につながるとは思わない。しかし世界は化学兵器や生物兵器と同様、やがて核兵器を廃絶する必要があるとの意思表示になる。道徳的規範だ」

 「たとえば、シリアのアサド政権が化学兵器を使ったとされる問題を考えてほしい。アサド政権が国際的に非難され、トランプ米政権による軍事攻撃が国内外で支持されたのは、化学兵器の廃絶を定めた国際規範があったからだ」

 −核保有国や日本は軒並み核禁条約に反対だ。

 「もし米国とロシアが主導すれば、他の核保有国は賛同するだろう。日本の立場も理解できる。米ロの役割が欠かせない」

 「米政府では核禁条約への反対が一般的だ。ただ、冷戦時代、中距離核戦力(INF)全廃条約に至ったレーガン米大統領と旧ソ連のゴルバチョフ書記長(いずれも当時)の会談では、核兵器廃絶も合意寸前だった。核廃絶はうぶな理想主義と見られがちだが、会談は結果的に目覚ましい核軍縮につながった。化学兵器を悪として廃絶に合意したのに、格段に悪影響を及ぼす核兵器について同じことができないはずがない」

 −米ロ関係は新冷戦といわれる緊張状態。実際に核軍縮が進展する可能性は。

 「即座にはないだろう。冷戦当時の軍事対立とは違い、サイバー戦争やロシアによる米大統領選介入疑惑など課題が多い。最低限の期待は、米ロが二〇二一年に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)を延長し、軍縮に取り組む時間を得ることだ」

 一九三九年、ニューヨーク市生まれ。元米海軍航空士官で、八一〜八五年に米国防次官補。退官後は米シンクタンク「外交問題評議会」で国家安全保障研究部長などを歴任し、現在はアメリカ進歩センター上席研究員や米ジョージタウン大非常勤教授を務める。

 

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