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【政治】

「障害」理由に…公共施設で差別 後絶たず 法律守れぬ自治体 国は把握不十分

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 静岡県熱海市の施設で聴覚障害者団体が宿泊依頼を拒否された問題は、障害者差別解消法の施行から二年余たっても地方自治体が法律を守れていない実態を浮き彫りにした。国と自治体は法律で、共生社会を実現する柱と位置付けられている。自治体が役割を果たさず、国の取り組みが不十分な現状では、安倍晋三首相が二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向けて掲げる共生社会の実現は難しい。 (城島建治)

 熱海市の青少年教育宿泊施設が一月に全日本ろうあ連盟青年部から約百人の宿泊を申し込まれ「緊急時や災害時に対応できない」と断っていたことが、今月に入って明らかになった。施設は県聴覚障害者協会の抗議を受けて謝罪。市の指導で受け入れ態勢も整えた。

 公共施設での差別は他でも相次いでいる。日本盲導犬協会が盲導犬利用者を対象に、昨年度一年間に受けた差別を調べたところ、神奈川県内の市民ホールなどで七件の受け入れ拒否があった。別の団体の調査でも実例が報告されている。

 差別をなくすにはどうすればいいのか。法律は行政職員が障害者を差別しないためのマニュアル「対応要領」の策定を義務付けた。さらに地域社会で情報を共有し、障害者の声を行政運営に反映させるため、障害者団体や家族会で構成する「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を促す。

 一七年四月時点の内閣府のまとめでは、対応要領を策定した自治体は64・3%、協議会の設置は41・4%にとどまる。自治体に積極的な取り組みを促すには、現状把握が必要だが、内閣府がまとめたのは一年余も前。障害者団体から、これでは適切な対応ができないと不満が出ている。

 十三の障害者団体でつくる「日本障害フォーラム」の担当者は「自治体職員には公共施設で差別された人がどんな思いになるか考えてほしい。政府は全国でどのような差別が起きているか実態調査し、差別解消に向けて具体的な対応をしてほしい」と訴える。

<障害者差別解消法> 2016年4月に施行された。障害のある人もない人も共に暮らせる社会を実現するのが目的。国の機関、地方自治体、民間事業者に対し、障害を理由とした差別を禁止し、合理的配慮を義務づけた。合理的配慮とは、車いす利用者のために建物入り口に段差スロープを設置するなど、障害者が社会生活を営む上で必要な対応を指す。

 

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