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【政治】

国立追悼施設の議論停滞 政府「世論見極め」と慎重

◆靖国問題の解決見えず

 戦没者の追悼の在り方を巡り、かつて政府が検討していた無宗教の国立追悼施設建設の動きが停滞している。歴代首相らの靖国神社参拝が中韓両国などの反発を招いたため、誰もがわだかまりなく参拝できる施設の必要論が浮上したが、安倍晋三首相が慎重なこともあり、靖国問題は解決の道筋が見えない。 (清水俊介)

 中韓が靖国参拝に反発するのは、先の大戦などの戦没者だけでなく、東条英機元首相らA級戦犯が合祀(ごうし)されているのが理由。歴代首相らの参拝が両国との関係悪化を招いてきた。

 国立追悼施設の検討が本格化したのは小泉政権時代。二〇〇一年、小泉純一郎氏が首相として靖国参拝した際、中韓との関係改善を意識して、解決策を検討する考えを表明した。当時の福田康夫官房長官の下に有識者の私的懇談会が設置され、〇二年十二月に無宗教の国立追悼施設が必要とする提言がまとまった。

 〇五年には、自民党を含む超党派の議員連盟「国立追悼施設を考える会」が発足。議連は〇六年、提言をまとめ、施設の設置とともに、内容や場所を決めるための調査費を政府が早急に計上するよう求めた。しかし、靖国神社の形骸化につながりかねないとして日本遺族会や関係議員が強く反対し、政府は予算化を断念した。

 安倍首相は一三年十二月、現職首相として小泉氏以来七年ぶりに靖国神社を参拝。しかし、超党派議連の関係者は「首相自身が慎重なこともあり、追悼施設を検討する機運は盛り上がらなかった」と振り返る。一方で、公明党は追悼施設の設置に前向きだ。山口那津男代表は八日の記者会見で「国民の幅広い理解を得て、実現されることが望ましい」と強調した。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日の記者会見で「多くの国民が理解し、(戦没者に)敬意を表することが重要。世論の動向を見極め、慎重に検討したい」と話した。世論の盛り上がりがない限り、政府が建設に向けて動くことはなさそうだ。

 

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