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【政治】

<自民党総裁選 改憲の行方>(2)9条 自衛隊明記 戦力不保持、死文化の恐れ

 唐突な提案だった。

 「自衛隊の存在を憲法にしっかりと位置付け、自衛隊が違憲かもしれないとの議論が生まれる余地をなくすべきだ」。憲法施行から七十年を迎えた昨年五月三日、安倍晋三首相(自民党総裁)は、東京都内の会合に寄せたビデオメッセージで、九条改憲の具体案を示した。戦争放棄を定めた九条一項、戦力不保持や交戦権否認を定めた二項を維持した上で、自衛隊の存在を憲法に明記する案だ。

 党執行部が今年三月にまとめた改憲四項目の条文案で、九条改憲は、首相の考えがストレートに反映された。一項、二項を維持した上で「九条の二」を新設し、「必要な自衛の措置」のため「実力組織として自衛隊を保持する」と明記する内容。首相は総裁選で連続三選されれば、この条文案を軸に他の改憲勢力との間で調整を進めたい考えだ。

 自民党が野党時代の二〇一二年にまとめた改憲草案は、九条二項を削除して「国防軍」を保持すると明記していた。首相は、この案では公明党の理解が得られず、改憲発議に必要な議席に達しないと考え、二項維持を打ち出した。「自衛隊に関する憲法解釈は一切変わらない」とも強調する。

 だが、自衛隊が憲法に位置付けられれば、運用への歯止めがますます弱まり、装備や活動範囲の拡大につながりかねないとの懸念がある。「二項は死文化する」との指摘も。

 首相の対立候補となる石破茂元幹事長は、一二年草案に沿った考え方だ。

 九条二項を削除し、「わが国の独立と平和、国際社会の平和と安定を確保するため、陸海空自衛隊を保持する」と書き込むべきだと主張。改憲四項目の中でも、九条改憲は首相と石破氏の間で最も隔たりが大きい。

 石破氏は、執行部が首相の提案に従う形で、一二年草案と異なる条文案を性急にまとめたことについても「党内民主主義に全く反する」と批判している。

 平和憲法の根幹である九条二項を削除して自衛隊を憲法に書けば、自衛隊を事実上、戦力と認めることに。米国などとの軍事的一体化がさらに進み、戦後七十三年間の歩みとは全く別の道を進む恐れがある。

 一方で石破氏は「(九条改憲は)時間をかけて丁寧に、国民の理解と納得を得るべきだ」とも主張。首相のように急いでいるわけではない。

 総裁選立候補を目指す野田聖子総務相は、九条改憲に具体的に言及していない。 (中根政人)

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