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【政治】

平成即位礼、政府対応を批判 故小林侍従が日記に見解

即位礼正殿の儀で、高御座の上の天皇陛下の前で万歳を三唱する海部俊樹首相。左側は成年男子皇族=1990年11月12日、宮殿・正殿松の間で

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 昭和天皇の侍従だった故小林忍氏(一九二三〜二〇〇六年)が、九〇年十一月に催された天皇陛下の「即位礼正殿(せいでん)の儀」を巡り、「ちぐはぐな舞台装置」「新憲法下初めてのことだけに今後の先例になることを恐れる」と当時の政府対応を批判する見解を日記に記していたことが二十三日、分かった。戦後初めて行われた即位の礼は、政教分離を巡り違憲論議も起きた。政府は宗教色を抑えようと配慮したが、一貫性がないとして宮内庁内に不満があったことがうかがえる。

 政府は、来年十月に予定されている新天皇の「即位礼正殿の儀」も基本的に前例踏襲とする方針で、今回明らかになった小林氏の見解が一石を投じる可能性もある。

 日記は政教分離の在り方に直接触れていないが、小林氏本人が参列した儀式の所作や内容について、費用も含めて手厳しい意見を記している。小林氏は昭和天皇死去後も宮中に仕えていた。

 記載があるのは、即位の礼の中心儀式「即位礼正殿の儀」が皇居・宮殿で催された九〇年十一月十二日。陛下が儀式の際に立った高御座(たかみくら)に、三種の神器の剣と勾玉(まがたま)に加え、宗教色を抑えるために国の印の国璽(こくじ)と天皇の印の御璽(ぎょじ)を目立つ位置に置いたことに言及。内閣法制局の幹部が「細かなくちばしを入れてきた」と不快感を示し「持ち込めば十分であって、目立たない所に置くと(中略)目的が達成されないというのだろうが、何と小心なることか」と私見をつづっている。

 両陛下や皇族、出席した宮内庁職員の多くが古風な装束を身にまとっていたのに対し、宮殿のデザインや当時の海部俊樹首相ら三権の長がえんび服だったことを「現代調」と表現。「全くちぐはぐな舞台装置の中で演ぜられた古風な式典」と皮肉り、全員が三権の長らと同じ洋装にすれば「数十億円の費用をかけることもなくて終る」と指摘している。

 平成の即位の礼や大嘗祭(だいじょうさい)に関しては、政教分離を巡って各地で違憲訴訟が起こされ、いずれも訴えは退けられたものの、両儀式への国費支出が「憲法の政教分離規定に反する疑いがある」と違憲性を指摘した九五年の大阪高裁判決が確定している。大嘗祭は、新天皇即位後初めての五穀豊穣(ほうじょう)に感謝する新嘗祭(にいなめさい)。

 来年十月二十二日に予定されている即位礼正殿の儀については、宮内庁が細部を検討中だが、ある幹部は「一点の曇り(批判)もない儀式を行うというのは至難の業だ」と話している。(日記の引用部分は基本的に原文のまま)

 

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