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【政治】

県民投票前に既成事実化 辺野古工事再開 政府、「身内」裁定3年前も

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 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設を巡り三十日、県による埋め立て承認撤回の効力が一時停止されると決まったことで、防衛省は来月一日にも埋め立てに向けた工事を再開する。今回の決定は、三年前に翁長雄志(おながたけし)知事(当時)が承認を取り消した際とうり二つの、スピード重視の「身内」による対抗措置。来春までに実施される県民投票を待たないという点では、三年前より強権的と言える。 (島袋良太)

 今回の効力停止は、行政不服審査法に基づく措置。本来、行政機関から不利益処分を受けた私人の救済を図る制度とされるが、防衛省は自らを「私人と同じ」立場だとして、同じ政府を構成する国土交通相に救済を申し立てた。

 政府はこの手法を、二〇一五年に翁長氏が埋め立て承認を取り消した際にも使い、行政法学者らから「裁判官と原告が同じ」などと批判を受けた。今回、県を相手に裁判を起こすこともできたが、迅速に結論を得るため、同じ手法を選択。防衛省の申し立てから決定までの期間まで同じ十三日だった。

 沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は三十日「このような短期間の判断は、まさに結論ありきの裁定。自作自演で、不当だ」と反発した。

 さらに今回の決定は、沖縄県議会が、新基地建設の是非を問う県民投票条例を今月二十六日に可決してからわずか四日後。政府は、来春までに県民投票で示される民意を見極めることなく建設を進め、既成事実化を図る構えだ。

 県は今後、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し立てる方向だが、先行きが見通せているわけではない。

 三年前も県は処理委に審査を申し立てたが、処理委は「国交相の判断は一見して不合理とは言えない」として却下。政府はその後、裁判を起こし、最終的に県の敗訴が確定した。今後の法廷闘争でも、新基地建設阻止を目指す県側が建設阻止を勝ち取る可能性は決して高くない。

 対抗手段が限られる中、県側に活路があるとすれば、やはり県民投票になりそうだ。法的拘束力はないが、さまざまな争点がある知事選などと違い、建設の是非のみを直接問う手段。玉城氏は、建設反対の民意を鮮明にすることで、苦境を打開したい考えだ。

 

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