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【政治】

労使 法整備巡り攻防 パワハラ・セクハラ防止策

 パワハラ・セクハラの防止策を話し合う政府の労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会で、労使の攻防が激化している。労働者側がハラスメント行為を禁じる法整備を求めているのに対し、規制強化を嫌う使用者側が難色を示しているためだ。厚労省は年内に結論をまとめる方針。実効性のある対策を打ち出せるかどうか、重要な局面を迎えた。 (大野暢子)

 労働者側「被害者が行政に相談してもハラスメントかどうか判定されない。法律で明確に禁止すべきだ」

 使用者側「パワハラは指導との線引きが難しい。まずは(強制力のない)ガイドラインを策定すべきだ」

 分科会では、こんな議論が労使の間で延々と続いている。

 日本にはハラスメント行為を禁じる法律がない。男女雇用機会均等法は、事業主にセクハラ対策を義務付けているが、パワハラには対策規定はない。このため、政府は昨年に決定した働き方改革実行計画で「労使を交えた場で対策を検討」と明記。今年三月、政府の検討会が報告書をまとめたのを受け、九月にセクハラ対策の強化とともに労政審で検討が始まった。

 しかし、議論を重ねても労使の意見は平行線のまま。経済団体や企業を代表する使用者側、労組幹部らで構成する労働者側という立場の違いが、そのまま隔たりにつながっている。

 パワハラの定義を巡っても、両者は対立している。

 政府の報告書では職場のパワハラの概念を「優越的な関係に基づいて、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与えること」などと整理したが、労働者側は、同僚や部下が加害者になることもあり得るとして「優越的な関係」の部分を問題視。定義を狭めかねないと懸念を示す。職場以外で起きた行為、取引先や顧客が被害・加害者となるケースも明確に対象としたい考えだ。

 使用者側は「できるだけ定義を限定しないと、職場で摩擦が生じたり、コミュニケーションが希薄になったりする」と反論。厚労省は、月内にも骨子案を提示する予定だが、意見集約は難航必至だ。

◆世界潮流は法規制

 性被害を訴える「#MeToo」(私も)運動が世界的に広がる中、ハラスメントを法律で規制するのが近年の国際的な潮流だ。日本政府は法規制に慎重な立場で、取り組みは諸外国に後れを取っている。

 国際労働機関(ILO)は6月、職場の暴力やハラスメントを防止するための条約の制定を目指す方針を決定。各国の対策を後押しする狙いで、来年の年次総会で採決される見込みだ。

 欧州連合(EU)やアフリカ諸国、中国などは条約制定に賛成したが、日本は「まだ全ての論点が議論されていない」と態度を保留。議論の場でも、条約が問題視する行為の範囲を限定する提案をするなど、消極的な姿勢が目立った。ILOが80カ国を対象にした調査では、60カ国が職場の暴力やハラスメントを規制。日本は「規制されていない」に分類された。

 政府は、前財務次官のセクハラ問題を受け、6月に緊急対策を決定。当時の野田聖子女性活躍担当相が意欲を示した罰則付きの法整備に関しては、実現に時間がかかるとして見送り、各府省庁の幹部職員に研修を義務づけるにとどめた。

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