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【政治】

日ロ、2島主権巡り溝 在日米軍配備が交渉の壁に

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 日ロ首脳会談で合意した日ソ共同宣言を基礎とした平和条約交渉の加速を巡り、両国の意見の対立が早くも表面化している。日本に引き渡すと明記された歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)二島について、日本が主権を主張するのに対して、ロシアは今後の交渉でどちらの主権に属するか決める、との立場を崩していないからだ。さらに、在日米軍配備の取り扱いが交渉を難航させそうだ。 (ポートモレスビー・妹尾聡太)

 日ソ共同宣言では、平和条約締結後、歯舞、色丹を日本に「引き渡す」と書かれているが、二島の主権がどちらにあるかは明記されていない。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十六日の記者会見で二島について「返還されれば当然、日本の主権も確認される」と指摘した。日本政府は、北方領土について法的、歴史的にも日本固有の領土との立場を堅持。旧ソ連が先の大戦で中立条約を破って占領して現在も不法占拠しているとし、返還を求めている。

 一方、ロシアも北方領土の主権を主張。「引き渡し」については、自国領土を善意で日本に渡すとの立場だ。渡した後の主権が日本にあると認めたわけではない。プーチン氏は十五日の記者会見で「二島の主権はどちらになるのかは書かれていない。本格的な検討が必要」と語り、今後の日ロ交渉で決まるとの考えを示した。

 二島の主権を巡る交渉をさらに難しくするのが在日米軍の問題だ。

 プーチン氏は昨年六月、北方領土の引き渡しに関し「米軍基地やミサイル防衛(MD)システムが設置されることは絶対に受け入れられない」と語った。米軍は日米安保条約と日米地位協定に基き、日本の防衛義務を理由に、日本国内ならどこでも米軍基地の設置を求めることができることを意識した発言だ。

 日本政府はプーチン氏の懸念を払拭(ふっしょく)するため、二島に米軍基地を設けないと確約する必要がある。同時に、日ロの接近を嫌う米国の理解も得なければならない。 

◆主権とは…他国に干渉されず統治

 北方領土問題で焦点なっている「主権」とは、どういうものなのか。

 学習院大学の阿部克則教授(国際法)は「他の国から干渉されることなく、領土や領土内の人を統治する権利」と説明。主権があると「国の法律や決定、命令に従うことを要求できる」とする。警察がその主な例だ。「帰属」とは、どの国が主権を持つかを指す。

 主権を失うと、その国の法律は原則として、失った領土やそこに住む人に適用できなくなる。例えば、土地の所有権にしても、主権が及ぶ国の法律に基づいて承認される。阿部氏は主権をどの国が持つかについて「住民にとっても、あらゆることが変わってくる」と指摘する。

 

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