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【政治】

水質悪化、料金値上げ危惧 民間に運営権 水道法改正案

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 政府は、水道事業への民間参入を進める水道法改正案を今国会で成立させる方針だ。自治体による水道事業の経営悪化や水道管の老朽化に対応するため、民間企業に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入しやすくするのが柱。野党の多くは、料金値上げや水質悪化を招きかねないと反対しているが、来週にも成立する可能性がある。(小椋由紀子)

 厚生労働省によると、市町村が運営する水道事業は全国で約三割が赤字。人口減少で十分な料金収入を見込めない事業者が、今後も増えると想定されている。

 高度成長期に整備が進んだ全国の水道管は、約15%が法定耐用年数の四十年を超える。耐震適合率も四割弱。大規模災害時に断水が長期化するリスクがあるとされるが、経営難の事業者には対応が難しい。

 改正案は、経営改善や老朽化対策を進めるため、水道事業の広域連携や官民連携を推進する狙い。コンセッション方式は現行も導入可能だが、自治体が事業認可を返上する必要があり、水道事業で導入例はなかった。改正案は、自治体が事業認可を持ったまま民間に運営を委ねられるようにする。民間は条例の範囲内で料金を設定できる。

 公共部門の民間開放は安倍政権の成長戦略の一つ。二〇一三年に閣議決定した日本再興戦略で「民間企業に大きな市場と国際競争力強化のチャンスをもたらす」として、上下水道や空港などへのコンセッション方式の導入推進を掲げた。

 だが、生活に不可欠で命にも関わる水道事業を、利益を追求する企業に委ねることへの不安は根強い。経営効率を優先して水質が悪化する懸念や、災害時の対応への不安、倒産リスクが指摘されるほか、経営改善が特に必要な地方で、採算が合いにくいため参入しないという疑念もある。

 海外では、民営化後に料金の高騰や水質が悪化した例が少なくない。フランスのパリやドイツのベルリンなどでは再公営化された。

 国内では、宮城県や浜松市など六自治体がコンセッション方式導入を検討する一方、福井、新潟両県議会では慎重審議や廃案を求める意見書が可決され、自民党議員も賛成に回った。

 改正案は先の通常国会で衆院を通過し、今国会では十一月二十二日に参院厚労委員会で審議が始まった。

 根本匠厚労相は二十九日の同委で「民間の技術や経営ノウハウを活用できる官民連携は有効な対策」と強調した。これに対し、共産党の倉林明子氏はコンセッション方式を「リスクが高い」と批判。立憲民主党の川田龍平氏は「自治体が専門人材を育成することで、この国の水を守るべきだ」として改正案に反対した。

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