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【政治】

勤労統計不正 抽出調査 なぜ誰が

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 厚生労働省は十一日、「毎月勤労統計」の不正調査問題について経緯や今後の対応を説明したが、東京都での全数調査をだれの判断で、なぜ抽出調査に切り替えたのかなど根幹部分は謎のまま。過少支給になった人たち全員に追加支給されるめども立っておらず、納得できる説明とは言い難い。 (大野暢子)

▽精 度

 今回の問題で大きな疑問は、従業員五百人以上の事業所は全て調べるとしていた調査計画のルールが、二〇〇四年以降、東京都分でなぜ無視されたのか。

 根本匠厚労相は十一日の記者会見で、「五百人以上の事業所は東京都に集中しており、全数調査にしなくても精度が確保できる」と書かれた「事務取扱要領」が当時あったと説明した。だが、比較的賃金が高い都内の大企業が調査対象から多く漏れれば精度に影響するのは予測できたはずで、同省の担当者は「抽出調査にする動機は、全く思い当たらない」と困惑する。

 厚労省は昨年六月、神奈川、愛知、大阪三府県に対し、一九年から抽出調査にすると連絡していたとも説明。不正な調査が拡大する恐れがあった。

▽組織的

 長年の不正調査を、組織的に隠蔽(いんぺい)してきたのかも不明だ。昨年一月分から、抽出したデータを全数調査に近づける補正処理を始めたのも公表されなかった。

 厚労省は、昨年十二月に総務省から指摘を受けて問題が発覚する前に「一部の職員」は実態を認識していたと説明。仮に省幹部が知っていたとすれば、組織的な隠蔽の疑いが濃くなる。

 根本氏は「組織的隠蔽があったという事実は現段階ではないと思っている」と説明したが、具体的な根拠は示さなかった。

▽申し出

 より深刻なのは、失業給付や労災保険を目減りされた人たちへの手当てだ。

 厚労省は、住所の記録が残っている人たちには手紙を送り、全員への支払いを目指すとした。

 一方、住所記録がない人が「推計延べ一千万人以上」いるほか、転居などで住所不明な人もいると説明。その人たちには、記者発表やホームページで周知し、申し出てもらい、本人確認を経て支払うとした。気付かない人は支給を受けられないことになる。

 追加支給が始まる時期も示されていない。厚労省の担当者は、支給にはコンピューターシステムの改修などが必要で「相当の時間がかかる」と話している。

 

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