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【政治】

厚労省、崩れた中立性 「身内調査」7割 統計不正、全面再聴取へ

 厚生労働省は二十九日、毎月勤労統計の不正を調査した特別監察委員会の外部有識者が同省部局長級、課長級職員から聴取した人数を、これまで説明していた二十人から十二人に訂正した。監察委の前身の監察チームによる聴取も含めた対象三十七人のうち、身内の同省職員のみでの聴取は七割近い二十五人に上り、同省が組織的隠蔽(いんぺい)を否定する根拠とした監察委調査の中立性は完全に失われた。同省は監察委の外部有識者による聴取を全面的にやり直す。 (清水俊介)

 統計不正問題は、二〇一七年度決算を審議した二十九日の参院本会議で議論され、論戦がスタートした。

 根本匠厚労相は、二十四日の衆参両院の厚労委員会閉会中審査で監察委の聴取に次官級幹部が同席した事実を明かさなかったことについて「質問がなかったため答弁しなかった」と説明。幹部同席については二十九日の記者会見で「事務の手伝いと理解している。第三者性は担保されている」と指摘した。

 安倍晋三首相は参院本会議で、不正に伴う再集計により、一八年一〜十一月の一人当たり現金給与総額の伸び率(前年同月比)が下方修正されたことと、アベノミクスの成果との関連性について「統計を引用して答弁したことはあるが、下方修正となった一八年の数値のみを示して成果を強調したことはない」と強調した。

 野党が求めた根本氏の罷免は「徹底検証、再発防止に全力で取り組んでほしい」として拒否した。

◆厚労相 説明変遷、責任問題に

 毎月勤労統計の不正問題で、不正に関わった厚生労働省職員の約三分の二は、特別監察委員会の外部有識者が関わらず、身内のみから調査を受けていたと分かった。同省には、事実を正しく検証し国民に伝える姿勢がなかったことになる。第三者による検証の中立性を訴えながら、説明を変えてきた根本匠厚労相の責任も問われる。

 監察委は初会合から五日後の今月二十二日、組織的な隠蔽(いんぺい)は認められないとする報告書を公表した。聴取対象の三十七人のうち、部局長、課長級の二十人について、厚労省は二十四日午前に「必ず委員(外部有識者)がヒアリングした」と答弁。しかし同日午後、根本氏は「精査したい」と修正に含みを残していた。

 結局、根本氏は二十九日の記者会見で、部局長、課長級のうち八人は厚労省職員のみによる聴取だったと訂正。「大変遺憾で、国会などで誠実に説明したい」と陳謝した。

 課長補佐級以下の十七人も身内のみの聴取だったことが分かっている。根本氏は監察委について「官僚はメンバーから外し、中立性、客観性を明確にした」と強調してきたが、実際は外部有識者の目が入らないまま多くの聴取が行われ、組織的隠蔽はなかったと結論づけたことになる。

 監察委が部局長、課長級に計二十七回聴取したうち、次官級の宮川晃厚労審議官が三回、定塚(じょうづか)由美子官房長は五回同席し、質問もしていた。十六日の部局長級の聴取は定塚氏と事務方職員のみで実施している。

 根本氏は二十九日の会見で、省幹部の同席について「省の姿勢を示すという意味と聞いている。結果として、第三者性の疑念を生じさせた」と釈明。責任問題に関しては、参院本会議で「省全体として統計に対する姿勢を根本からただし、厚労行政の信頼回復に努めることが私の責任」と強調した。 (大野暢子)

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