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【埼玉】

災害時、犬や猫をどう救う 被災地の実情追う映画、さいたまで上映

映画のワンシーン。飼い主と離れ離れになった犬(いずれも(c)宍戸大裕)

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 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故では、多くのペットや家畜も犠牲になった。一方、生き残った動物の命を救おうと奮闘する人たちがいる。そんな実情を追ったドキュメンタリー映画「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」が二十八日、さいたま市の浦和コミュニティセンターで自主上映される。市民団体でつくる上映実行委員会のメンバーは「災害時に動物の命を救うために、私たちに何ができるか。映画を通じて考えてほしい」と訴える。 (杉本慶一)

 監督は、宮城県出身の映像作家・宍戸大裕(だいすけ)氏。六百日にわたり製作に取り組んだという。映画は大震災によって激変した人と動物の関係を、多くの実例を追うことで描いた。

 ある夫妻は震災発生直後、愛犬とともに小学校に逃げ込んだ。しかし、校舎の外につないだ犬だけが津波にのまれてしまった。また、ある男性は自宅に愛猫を残したまま避難した。ようやく自宅に戻ると猫はおらず、ずっと捜し続けている−。

 カメラは、第一原発近くの町にも入る。道端に放置されたままの犬の死骸。誰も世話をする人がいない畜舎では、ほとんどの牛たちは餓死していた。

 そんな悲劇の中で、飼い主とはぐれた犬や猫を保護するボランティアたちがいる。政府は第一原発近くの家畜を殺処分するよう指示したが、あえて牛の飼育を続ける畜産農家やボランティアの姿にも迫った。

 二〇一三年に劇場公開されて大きな反響を呼び、各地で自主上映会も行われてきた。今回の実行委は、動物福祉団体のNPO法人「アニマル・サポート・メイト」(さいたま市)や「浦和キャッツ」など。

 浦和コミュニティセンターは、JR浦和駅東口の「浦和パルコ」十階。上映開始は午後六時五十分。入場料は大人千円、中高生七百円、小学生以下五百円。

 鑑賞の事前申し込みや問い合わせは、アニマル・サポート・メイト代表理事の野田静枝さん=電080(5686)2248=か、ファクス048(824)2248=へ。

◆行政が保護に本腰を NPOの野田さん

 東日本大震災では、ペットの犬猫を連れて県内に避難してきた人もいる。しかし、間もなくペットと別れざるを得なくなったケースも少なくない。原発事故の影響で自宅に戻ることができず、ペットを飼えない公営住宅などで避難生活を始めたためだ。

 NPO法人「アニマル・サポート・メイト」の野田静枝さん(68)=さいたま市浦和区=らは震災後、福島県の避難者らが連れてきた犬の“里親”を探し、六頭を埼玉県内や東京都内の人に預かってもらった。「飼い主たちは『会うと別れたくないと思ってしまうので、会いに行けない』と我慢していた」と野田さん。ある飼い主は二〇一三年、二年ぶりに愛犬と再会した。飼い主は「ごめんね」としか言えず、別れ際には、犬が「クーン」と悲しげに鳴いていたという。高齢だったその犬は、昨年に預け先で静かに息を引き取った。

 野田さんは「この犬は天寿を全うできたが、被災地では震災後も、犬猫や家畜の命が残酷に失われてきた。人がいない第一原発周辺で犬猫が繁殖を続け、劣悪な環境で生存競争を強いられている」と指摘。

 その上で「現地ではボランティアが懸命に動物たちの命をつないでいるが、限界もある。国や自治体が本格的に保護して譲渡会を開くなど、動物の命の問題に行政が真剣に取り組んでほしい」と話している。

 

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