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【埼玉】

<ひと物語>ファミコンで懐かしい音楽 イラストレーター・漫画家 RIKIさん

ファミコンのカセットを作ったRIKIさん。テレビに映るのは3月末に発売される新作のプレー画面だ=ふじみ野市で

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 テレビ画面にさまざまなドット絵が映し出され、「ピコピコ」と懐かしいサウンドが流れる。二〇〇三年に生産が中止された家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」に差し込まれているソフトは、RIKIさん(42)が制作した「8BIT MUSIC POWER」(一六年一月発売)だ。ゲーム音楽の作曲家が手がけた十一曲を再生できるこのソフトは、発売からわずか三日で五千本以上を売る異例のヒットを記録した。

 高画質、高音質のゲームが主流の中、RIKIさんはファミコンに代表されるレトロゲームのマニア。漫画家として成功すると収集癖に拍車がかかり、ゲーム店のカセットを全部買い占めるほどだった。

 だが五年前、部屋に山積みになったカセットを見て、「集め切っちゃった」と喪失感に襲われた。処分するとともに「自分で作ろう」と思い立った。

 目指したのは簡単なアクションゲーム。知人のプログラマーとともに制作期間一年、制作費数百万円で初めてゲームを作った。しかし、カセットにするには予算が足りず、CD−R版を発売。マニアの間では好評だった。

 その二年後、評判を知ったゲーム機器メーカーがカセット制作を依頼。「レトロゲームのファンは新しいものがほしいはず。ずっとファミコンが好きで良かったと思ってもらえるチャンスだ」と引き受けた。

 「仕事をしながら楽しめるように」と音楽の再生機能に特化することになった。ゲーム音楽の有名作曲家ら十一人に直談判した。さらにドット絵や全体のデザインを考案し、少ない容量で美しい音と映像を表現することを模索。第一作目の「8BIT−」を発売した。

 予想外の売れ行きを受け、CD−R化したアクションゲームもリニューアル版を発売。一作目を超える売り上げを記録した。

 少子化でゲーム人口が縮小する中での異例のヒット。「正直、業界の未来は暗い。だからこそ好きなことを全力でやろうと思えた。現状を打破するのは好きって気持ちが一番大切なのかも」と話す。

 三月末には十八曲を収録した「8BIT−」の続編が発売される。RIKIさんは「奇跡の一本。これを超えるものは作れない」と続編を最後にゲーム制作をやめるという。だが一方で、自ら禁じたカセットの収集癖が最近、復活。「充電したら、また作るかも」。にやりと笑い、さらなる新作への期待感をにじませた。 (西川正志)

 <りき> ふじみ野市在住。IT関連企業で勤務した後、イラストレーター、漫画家に転身。3月31日に新作「8BIT MUSIC POWER FINAL」を発売予定。ロックマンなど有名ソフトの音楽を手がけた作曲家も参加。シャッフル再生やキャラクターに38種類のポーズをとらせる機能も追加した。

 

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