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【埼玉】

北本の「デーノタメ遺跡」 環状集落跡は関東最大級規模

シンポジウムでスクリーンに映し出されたデーノタメ遺跡の見取り図=北本市で

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 北本市南部にある縄文時代中期から後期の遺跡「デーノタメ遺跡」で見つかったドーナツ形に広がる環状集落跡が、関東地方最大級の規模であることが同市教育委員会の分析で明らかになった。研究成果を発表した市教委主催のシンポジウムには八百人超の来場者があり、市民らの関心の高さをうかがわせた。市は「市や国の宝として遺跡を残したい。縄文時代の暮らしを今に伝えるタイムカプセルとして観光の目玉にもなる」(現王園孝昭市長)と、国の史跡指定を目指し、今春から調査報告書づくりに着手する。 (花井勝規)

 デーノタメ遺跡は一九六九年、同市下石戸下地区の雑木林の中で見つかった約六ヘクタールの遺跡。その後、区画整理予定地となり、二〇〇〇年から〇一年にかけて第一次発掘調査が行われたのを皮切りに、〇八年までに計四回の発掘が行われた。

 これまで収集された土器などの出土品の史料は五百ケース分・約十数万点に及ぶ。

 遺跡名のデーノタメは、遺跡が発見されるころまで近くにあった湧水のあるため池を指す「出水のため池」が、なまって伝えられてきた呼称から取った。

 遺跡内には、西側に縄文時代中期(約五千年前)の集落、東側には縄文時代後期(約四千年前)の二つの集落があり、このうち中期の集落はドーナツ形の環状集落がほぼ完全な形で出土している。

 昨年二月に実施した確認調査で、その大きさが二百十メートル超と関東地方で最大級であることが判明した。東側の集落は長さ二百七十メートルの曲線状に広がっていることも確認された。

 シンポジウムで調査報告をした市教委の斉藤成元主査は「遺跡全体でみると集落の規模がとても大きい。さらに集落と併せて水場も確認され、集落・水場のセットで残されている遺跡は全国的にもまれだ」と強調した。

 デーノタメ遺跡の重要性について講演した明治大学の阿部芳郎教授は「集落で約千二百年にわたる人々の生活が行われていたことが分かった。縄文時代に高度な定住社会を形成していたことを示す重要な証拠だ」と指摘した。

 遺跡では、大量のクルミの殻が捨てられた「クルミ塚」が六カ所みつかったほか、ダイズなどを栽培していた可能性を示す痕跡や、漆を広範囲に利用していた形跡である漆塗り土器の破片約千百点が出土した。

 阿部教授はこれらを踏まえ、「ウルシ林を管理し、樹液を採取して漆工芸を担う人々が存在していた可能性が高い。内陸部での豊かな生活の実態を伝える、東日本を代表する縄文時代遺跡の一つと考えられる」と結んだ。

 

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