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【埼玉】

<ひと物語>こだわりの一足手作り ホワイトクラウド代表・後藤庄一さん

高いデザイン性と足の構造に合った履き心地の良いブーツを作るホワイトクラウドの後藤庄一さん=越谷市で

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 越谷市の住宅街に工房を構えるワークブーツメーカー「ホワイトクラウド」。代表を務めるのは、足つぼのマッサージ店で勤務経験がある後藤庄一さん(45)だ。後藤さんのブーツは、細かい採寸などで客の足の特徴に合わせた構造と、ワークブーツの機能美を守りつつ、ボリューム感を抑え、つま先を角張らせるなどした個性的なデザインが特徴で、国内外に多くのファンを抱える。

 二百以上の工程を一人で手づくりするため、月産三〜四足が限界。大量生産はできず、「普通のサラリーマンの方が稼げますよ。それでもお客さんの足にあったブーツを作ることが一番の目標なんです」と話す。

 もともとバイク用品の輸入を手がける商社に勤めていたが、「お客さんと直接ふれあえる仕事がしたい」と知人が経営する足つぼのマッサージ店に転職した。

 日々、客の足と向き合う中で「足に合う靴がない」と悩む人が多いことに気づいた。そこで足と靴の知識を深めようと、靴の中敷きの製作を学べるセミナーを受講。靴が健康にどれだけ重要かを知り、靴への興味が増した。もともと独立の夢もあり、靴職人になろうと決めた。

 別のバイク店を経て、三十歳で都内の靴作りの専門学校へ入学。「長く履くことができ、履きじわや傷も格好良さになるワークブーツを作りたい」と思い、卒業した二〇〇五年、ホワイトクラウドを立ち上げた。

 当初はアルバイトをしながら、ブーツ作りに励んだ。米国の有名メーカーのブーツを解体し、構造や革の耐久性を研究。「健康とファッションの両立」を目指して試行錯誤を繰り返し、代表作である「ブラッチャー」を完成させた。

 ブラッチャーは日本人の足に合わせて、かかと部分を小さめに設計するとともに、厚い芯材を入れることで正常なかかとの位置を保持。見た目にも美しい土踏まずにかけて絞り込むようなデザインは、しっかりと体重を支えられるよう工夫されている。

 質実剛健なデザインと抜群の履き心地のブーツは多くの雑誌に取り上げられ、全国から注文が相次いだ。

 海外からの問い合わせも多いが、後藤さんは来店できない客からは注文を受けない。細かな採寸や足の特徴を聞きながら形を微調整したりできないからだ。

 「『ホワイトクラウドのブーツじゃなきゃ履けない』という声がなによりもうれしい」と後藤さん。効率やもうけを度外視し、これからも客に寄り添うブーツを作り続けていく。

 (西川正志)

<ごとう・しょういち> 山梨県出身で、小学校1年生から県内在住。ホワイトクラウドでは4タイプのブーツを制作しており、革の種類や色などもオーダーできる。価格は9万5000円から。6月ごろに新しい3タイプのブーツを発表予定。問い合わせはホワイトクラウド=電048(985)9816=へ。

 

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