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【埼玉】

<ひと物語>空き家再生で芸術発信地に P−1 LABO代表・深沼マリさん

空き家を芸術スペースに再生した深沼さん=上尾市中妻で

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 JR北上尾駅から西に歩いて七分。住宅街の一角に、外壁一面をピンク色に塗られた民家が現れる。「二年前まで周囲からひんしゅくを買うほどボロボロだったんですけど」と深沼マリさん(70)。築四十年のかつての自宅を改修し、芸術や地域活動のためのクリエーティブスペース「P−1(ぴーち) LABO」として十六日にオープンした。

 「上尾のアートの拠点になるような場所にしたかった」。二階建ての3LDK。一階は展示やセミナーに使える二部屋とダイニングキッチンで、利用者に貸し出したりイベントを開いたりする。二階はアーティストが暮らすシェアルームで、既に二人の入居が決まっている。

 作品の展示やワークショップの開催、庭を使ったガーデニング…。「キッチンもあるし、子ども食堂なんてやるのも良いですよね」。自分たちで企画をするだけでなく、利用者が主体となった自由な使い方に期待する。

 一九七六年に夫と建てたマイホームだが、外観に手を入れたことは一度もなかった。老朽化に伴い、二〇〇四年に市内の別の場所に引っ越し。人が住まなくなった家は、次第に荒れていった。

 転機は一五年九月。全国各地に廃校をアーティストのアトリエにリニューアルする活動があることを知った。「私もこういうことができないかな」

 お茶を飲みながら何げなく発した言葉に、知人の建築士が反応。「できるよ。やろう」。二年がかりの空き家再生プロジェクトが始まった。

 傷んでいた屋根と壁を明るい色に塗り直した。台所にはカウンターを取り付け、庭にはウッドデッキを設置。作業の一部は無料の体験講座にして、市民にも協力してもらった。

 目指したのは、芸術関係者だけでなく地域の人が気軽に集える空間。自身を「ごくありふれた主婦」と評すが、地域とのつながりを大切に生きてきた。

 改修前の家に住んでいた時から、不登校の生徒の保護者を自宅に招き、悩みを語り合う場をつくった。引っ越した後の現在の自宅では、一室をミニギャラリーに。〇四年のインドネシア・スマトラ沖地震以降は、災害があるたびに近所でチャリティーバザーを開いている。

 もともと現代アートが好きで、各地の美術祭にも足を延ばす。地元の上尾は、芸術活動がやや物足りないと感じている。「いろいろな人が集って、ここから文化を発信していけたら」 (井上峻輔)

<ふかぬま・まり> 東京都板橋区出身。結婚後、1976年から上尾市で暮らす。P−1の住所は上尾市中妻2の8の13。名前は「Peace First」(平和第一主義)から。会員制で、利用には入会が必要。利用料は部屋によって違うが、一番大きい10畳の部屋は1時間1000円。問い合わせは深沼さん=電048(773)8795=へ。

 

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