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【埼玉】

<ひと物語>カブトムシツアー主催「座☆ビートルズ」リーダー 佐藤弘信さん

カブトムシの卵や幼虫を育てる升の状態を調べる「座☆ビートルズ」の佐藤さん=同市内で

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 新座市内の公園の一角に、クヌギやコナラの落ち葉を詰めた堆肥升が三つ、並んでいた。縦横各二メートル、深さ一メートルはあるだろうか。

 「中にはカブトムシの卵や幼虫がいます。落ち葉を餌にして大きくなり、六〜七月に成虫になって飛び立つはずですよ」

 升を管理するボランティアグループ「座☆ビートルズ」のリーダー佐藤弘信さん(73)が期待を込めたまなざしで落ち葉をなでた。

 座☆ビートルズは、市内の雑木林を観光資源として生かそうと、市が二〇〇六年度に提案した「カブトムシの里づくり事業」に賛同したボランティアで構成。現在の会員は男女計十九人。堆肥升の年間を通じた管理と、七月に行うメインイベント「ナイトツアー」を主な活動にしている。

 ナイトツアーでは、募集に応じた市内外の子どもたちを夜の雑木林へ招き、クイズを交えながらカブトムシの生態観察を行う。最後に升で育てたカブトムシ(雄と雌)を子どもたちに配布、家庭で飼育を楽しんでもらう。その後生まれた卵や幼虫は返却してもらい、翌年夏まで升の中で大切に育てていく流れだ。

 「ナイトツアーでカブトムシを追う子どもたちは目をキラキラさせています。生き物を育む雑木林に関心を持ってもらうことが、雑木林の次世代への保存につながると思うのです」

 カブトムシは自然の生き物。成育がうまくいくとは限らない。ビートルズもここ三年間、うまく成育させられず、同様の取り組みを続ける他団体にカブトムシを融通してもらっていた。

 「落ち葉に栄養がなくなっているかもしれないと考えて昨秋、会員総掛かりでシャベルを使って入れ替えました。成果が表れる、と思うのですが…」

 ボランティア活動で汗を流しているせいか、血圧の薬を飲む他は健康そのものだ。月一度のゴルフや、仲間と日本酒をたしなむ習慣も健康づくりに役立っているようだ。

 今回、取材を受けていいものか、ためらったという。「同様の活動をする高齢の先輩が何人もいます。中には学問的な裏付けにまで踏み込む方も。私が先んじて取り上げられては、おこがましいのではないか…」

 それでも応じたのは、自ら紙面に登場することで、より多くの人に市の環境保全活動を伝えられるのではと考えたから。「市内には私たちの他、ホタルの里づくり事業を展開する町内会など七団体や、歴史のある野火止用水の美化に取り組む団体などもあります。関心を持っていただけるとありがたく思います」 (加藤木信夫)

<さとう・ひろのぶ> 1943年、山形県米沢市生まれ。東北大卒業後、東京都内の出版社勤務。1994年、新座市転居。63歳で退職後、同市と市内3大学が連携した「市民総合大学」で約6カ月学ぶ。修了後にボランティアの「観光都市づくりサポーター」「環境保全協力員」を市から委嘱され、「座☆ビートルズ」ほか複数団体で活動中。

 

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