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【埼玉】

足袋蔵のまち行田に脚光 日本遺産認定足掛かりに観光本腰

産地として300年の歴史を誇る行田の足袋

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 文化庁が認定する本年度の「日本遺産」に行田市の「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」が選ばれ、観光客の受け入れ態勢整備に向けた議論がスタートした。足袋の話題では、市を舞台にした足袋メーカーの奮戦を描いた池井戸潤さんの小説「陸王」がテレビドラマ化される計画もあり、「市の活性化や観光振興に絶好の追い風」(工藤正司市長)と関係者らは期待を膨らませている。 (花井勝規)

 日本遺産は、文化庁が二〇一五年度から始めた新しい認定制度。地域に点在する有形・無形の文化財や伝統文化などをまとめてストーリー仕立てにしたものを認定する。文化財そのものが対象ではない。

 本年度分は四月下旬に発表され、三重、滋賀両県の「忍びの里 伊賀・甲賀」など十七件が認定された。足袋蔵のまち行田はそのうちの一件で、県内での認定第一号となった。

 「この好機を生かし、交流人口や街のにぎわいを拡大し、活性化につなげたい」。市内で開かれた祝賀セレモニーで、工藤市長はそう抱負を語った。

 行田の足袋生産は約三百年前の江戸時代中期に始まった。ピークは一九三八(昭和十三)年ごろ。当時は約二百軒の工場や事業所が市内に軒を連ね、年間生産量は八千四百万足と、全国の約八割を生産していた。

 戦後、ナイロン靴下の普及で、足袋生産はピーク時の六分の一以下に激減。現在でも全国トップの産地だが、足袋や関連部材を市内で製造する事業者は八軒にすぎない。

 過去二回、日本遺産の認定を逃してきた市が今回認定を勝ち取ったのは「足袋蔵」に焦点を絞ったためだ。市教委文化財保護課長の中島洋一さんは「蔵のある街は全国にたくさんあるが、足袋蔵は行田だけ。オンリーワンが高く評価された」と分析する。

 日本遺産で認められたストーリーを構成する文化財は計三十九件。このうち二十六件・五十六棟が足袋関連の建造物で、足袋蔵は三十七棟を占める。

 商品倉庫として利用された足袋蔵は明治から昭和三十年代前半まで建設され、市中心街に現存する足袋蔵は七十九棟。原材料を保管しやすいよう中央の柱が少なく、通気性を高めるため床を高くしているのが特徴だ。中島さんは「今回の認定はゴールではなく、新しいスタートにしたい。市内に残る足袋蔵をどう保存し、有効活用していくかを議論し、実行に移していければ」と話している。

 五月末、市や商工会議所など十四団体がつくる推進協議会が発足。観光客の「おもてなし」態勢の整備などを中心に、案内板の設置や足袋蔵ガイドの養成、土産物の充実などのアイデアが出された。

いずれも行田市内に点在する足袋蔵

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