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【埼玉】

外来カミキリ 行田など5市に拡大 サクラ枯死の恐れ

クビアカツヤカミキリのオス(加納正行さん撮影)

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 草加市内で二〇一三年、国内二例目として見つかった外来種の昆虫「クビアカツヤカミキリ」が、行田市や熊谷市など県北部の利根川流域でも急速に生息域を拡大していることが分かった。繁殖力が強く、ソメイヨシノなどのサクラやウメ、モモなどバラ科の樹木を食い荒らして枯死させる恐れがあり、県や専門家らが注意を呼びかけている。 (花井勝規)

 県内でのクビアカツヤカミキリによる被害報告は、一三年に草加市で成虫が見つかって以降、ほぼ同市内に限られていた。状況が一変したのは今年に入ってからだ。

 県みどり自然課に今春以降、クビアカツヤカミキリの成虫などが新たに見つかったとの報告が五市から計十三件寄せられた。草加市に隣接する越谷市のほか、草加市からは距離がある行田、羽生、熊谷、深谷の四市も含まれていた。四市はいずれも利根川流域の自治体。川を挟んだ対岸の群馬県東部で猛威を振るっているため、専門家らは北側から飛来した可能性が高いと推測している。

 「早く手を打たないと、広範囲に拡散する恐れがある」−。事態を重く見た行田さくらロータリークラブなど行田市の三団体は市に、防除対策を要望した。これに先立ち三団体は七月から八月にかけ、市内を中心に十六カ所で現地調査。須加小学校など四カ所のソメイヨシノ十九本で、クビアカツヤカミキリの幼虫が樹木の内部に侵入し排出するフンと木くずが混ざった「フラス」を確認した。

 調査に参加した行田ナチュラリストネットワークの橋本恭一代表は「クビアカツヤカミキリは五〜十匹でサクラの木を枯死させるといわれている。対策をしないと春のサクラの景色が一変する事態になりかねない」と危惧する。

 一三年夏、草加市で国内二例目のクビアカツヤカミキリが見つかったのはサクラの名所・葛西用水だった。県生態系保護協会草加・八潮支部が開いた自然観察会に参加した小学生が、黒く光沢のある昆虫を捕獲した。

 支部長の加納正行さん(82)はその日以来、市の協力を得ながら駆除活動に走り回る日々を続けている。この四年間、草加市内で調査した樹木はサクラを中心に約千五百本。このうち食害にあった四、五十本は伐採され、七十本に防除措置が施された。「調査した範囲は対策を講じ、被害の拡大は抑えられているが、未調査の樹木から新たに見つかる例が続いている。まだ楽観はできない」と加納さんは気を引き締める。

 加納さんと共同で調査を行ったクビアカツヤカミキリの生態に詳しい日大森林動物学研究室研究員の桐山哲さん(31)は「群馬県館林市は関東で最も深刻な被害が広がっており、いつかは利根川を越えるのではと心配していたが、現実になってしまった。分布状況の調査と早めの駆除・防除が大切だ」と訴える。

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 群馬県内では一五年七月に館林市の県立館林高校で見つかって以降、市内で被害が拡大。周辺の邑楽郡五町でも発生が確認されている。館林高校のソメイヨシノの並木は三十一本すべてがカミキリに侵食され、既に五本が枯死した。館林市によると、この三年間で市内の百地点で発生が確認された。今年だけで伐採した木は十本、飛散防止のための防護ネットを巻いた木は百八十九本にのぼっている。

 栃木県内では一六年七月に足利市の渡良瀬川河川敷で見つかり、今年は佐野市内でも被害の報告があった。

<クビアカツヤカミキリ> 成虫は体長が約2・5〜4センチで、全体が光沢のある黒色で胸部は赤色。樹皮の割れ目などに産卵し、幼虫は樹木の内部を侵食して2〜3年かけてさなぎになる。6月から8月にかけ成虫となって外に現れる。原産は中国、朝鮮半島、ベトナムなどで2012年に愛知県内で見つかって以降、埼玉、群馬、栃木、東京、大阪、徳島などで見つかり被害が拡大傾向にある。海外からの輸入木材やコンテナに紛れ込んだものが国内に入り込んだ可能性が指摘されている。

 

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