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【埼玉】

<衆院選 争点を語る>(上)改憲 具体性持たせた議論を

「憲法を知って、議論してほしい」と話す牧野弁護士=さいたま市浦和区で

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◆憲法ミュージカルを再開した弁護士・牧野丘(たかし)さん(61)

 「憲法を変える、変えないの議論の前に、憲法を知ることが必要。その問題提起がしたかった」

 松本サリン事件や従軍慰安婦など社会問題を憲法の視点で切り取る「憲法ミュージカル」を一九九三年、弁護士有志らと始めた。演じるのは、舞台経験のない市民。取り組みは共感を呼び、東京や大阪など全国に広がった。県内でも二〇〇二年まで続けたが、運営が負担となり、中断していた。

 しかし、一五年の安保法の成立を機に、以前の出演者から「憲法の位置付けが分からない時代情勢になった。再度憲法を表現したい」という声が上がり、十五年ぶりの公演を今年五月にさいたま市で行った。

 舞台は沖縄。一億年前からガジュマルの木にすむとされる妖精「キジムナー」の視点で見た太平洋戦争末期を描いた。本土決戦を遅らせるために徹底抗戦した沖縄。米軍上陸で、十九万人が犠牲になり、豊かな自然も破壊された。

 「天皇のために国家を守る、という考え方に基づけば、本土決戦を遅らせるのは価値がある。一方、個人の尊厳が最大の基調である、という考えに照らすとどうか」。大日本帝国憲法と日本国憲法の性格の違いをミュージカルの中で対比し、二日間の上演に訪れた約二千人に問いかけた。

 法律家の一人として改憲の動きに反対ではない。「ただ世の中の出来事に憲法を当てはめてからでないと、地に足が着かない議論にしかならない」と思う。

 衆院選でも改憲が争点の一つとなっている。具体的に憲法をどのように変えるかの議論がされていないことに疑問を持つ。「九条への『自衛隊』明記にしてもどういった条文を加えるのか。憲法は日本国民の考えの規範。具体性を欠いた議論が続いている」と憤る。

 「憲法のどこを変えるかも明確にせず、(自党の)候補者に改憲を認めさせようとする。そんなことがまかり通っているなんて。荒っぽい政治的な議論にさらされている日本国憲法がかわいそうだ」と嘆く。

 施行から七十年以上がたち、改憲が現実味を帯びてきた。「憲法は法律の中の法律で社会の重し。政党や候補者が憲法を軽んじていないか判断し、投票してほしい」 (牧野新)

     ◇

 県内の各分野で活躍する人々に衆院選で大切と考えるそれぞれの「争点」について聞いた。

 

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