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【埼玉】

地方馬の魅力伝え35年 浦和競馬場で「予想屋」稼業 高瀬孝也さん 

浦和競馬のレースを解説する高瀬孝也さん=10月、さいたま市で

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 地方競馬場で、「口上」と呼ばれる解説で客を集め、レース結果予想を売る「予想屋」。この稼業を祖父の代から受け継ぎ三十五年になる高瀬孝也さん(57)は「競馬の面白さを伝えたい」と奮闘している。

 「この馬は一番枠でうまく乗りそう。左回りはまだ二回だけど買うべきだね」。十月、さいたま市南区の浦和競馬場。高瀬さんのブース「夢追人」の前で、集まった客が熱心に耳を傾けていた。

 同競馬場を運営する県浦和競馬組合によると、予想屋は地方競馬にしかなく、組合の許可を得ている。多くが大井、川崎、船橋、浦和の南関東の四競馬場を週ごとに移動して営業。レースごとに、二着以内に入る二頭を当てる「馬連」五点の予想をスタンプした紙を、一枚二百円で売っている。

 高瀬さんは二十二歳で父親に弟子入りし、口上や予想の立て方を学んだ。一頭一頭、淡々と解説する穏やかな語り口は、客に「競馬場一の紳士」と慕われた父親譲りだ。

 独立当初は予想がなかなか売れず、破いた外れ馬券をブースに積まれたことも。地方競馬の開催がない週末は、家にこもって過去のレース映像を研究した。「予想が当たると、苦労も忘れる」と、今も研究に一日九時間ほど費やす。

 近年、インターネットでの馬券購入者が増える一方で、地方競馬の入場者数は伸び悩んでいる。高瀬さんは、口上のライブ映像をネット配信する試みを始め「競馬をただのマネーゲームにしてほしくない。配信を見た人が競馬場に足を運んでくれれば」と期待する。

 南関東の予想屋でつくる団体によると、所属する予想屋は一九八〇年代に約三十五人だったが現在は十五人。高齢化も進む。高瀬さんは「いずれなくなる職業なのかも」と話すが、今春から息子の幸一さん(35)が助手となり、将来は後を継ぐ予定だ。「大好きなことで人の役に立てる。こんなに面白い仕事はない」。高瀬さんは笑顔を見せた。

 

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