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【埼玉】

目立つ秀逸な作品 小学生の参加も増 熊谷市の「写真俳句」コンテスト6年目

「勤倹も木かげを選び力行す」(2017年、特選、熊谷賞)=熊谷市提供

写真

 熊谷市出身の作家・森村誠一さん(84)が提唱する、写真と俳句を組み合わせた新ジャンルの表現手法「写真俳句」。森村さんが選者を務める市主催のコンテストが今年で六年目を迎え、入賞作品の展示会が、市緑化センター一階ホールで開かれている。十六日まで。(花井勝規)

 今年は全国八百三十四人から千百六十六句が寄せられた。応募者の最年少は六歳、最年長は九十八歳。

 森村さんの審査を経て、二匹のセミの抜け殻が並んだ写真に「空蝉(うつせみ)の地下の年月語り合ふ」と詠んだ徳島県の秋田芳子さんの作品など五点が特選、二十点が入選に決まった。このうち地元にまつわる題材の作品七点には熊谷賞も贈られる。表彰式は十六日にある。

 今年は市内の小学生からの応募が目立ち、特選で一人、入選で十一人が選ばれた。二年連続で特選に輝いた熊谷東小四年生、太田資邦(まさくに)さんは校庭の樹木の下に設置された二宮金次郎像を写した写真に「勤倹も木かげを選び力行(りっこう)す」とユーモラスな句を詠んだ。

 コンテストの入賞作品には、日常の何げない風景の中で作者が見つけた面白い場面や、重ねられた歳月の重さを感じさせる場面を切り取った秀逸な作品が目立つ。写真と俳句が互いを補い合い、作品の世界が広がる「相乗効果」を生み出している。

◆表現すること楽しんで 森村誠一さん

 出身地の熊谷でコンテストが六年目を迎えたことに森村さんは「年を追うごとに俳句も写真もレベルが上がってきた。スマートフォンの普及で多くの人に写真が身近になってきた面もあろうが、詠み方も深みを増している」と話す。

 森村さんが写真俳句という新分野を編み出したのは二〇〇〇年代に入ってからだ。俳人の横山白虹や角川春樹さんらの影響で俳句を始めた森村さんが、自身のホームページに俳句作品を掲載する際、日常生活で撮った写真を載せると閲覧者数がぐんと増えたのがきっかけになったという。

 「写真が先か、俳句が先かなどと、こだわらなくていい。季語は写真に語らせてもいいわけで、表現することをまず楽しんでほしい」と森村さん。〇五年に「森村誠一の写真俳句のすすめ」(スパイス刊)を出版して以降、写真俳句関連の著作を重ねた。一五年には「写真俳句連絡協議会」(写俳協)を設立し、名誉顧問に就いた。

 写俳協の中村広幸会長は「熊谷を含め全国四カ所で毎年、写真俳句コンテストが開かれている。最近はカルチャー教室などで取り組む例が各地で増えており、今後その動きが広がりそう」と話している。

 

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