東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

国宝の極彩色 乾燥劣化進む 熊谷「歓喜院聖天堂」大修理から7年

「平成の大修理」で250年前の極彩色がよみがえった奥殿=熊谷市の妻沼聖天山で

写真

 二〇一二年の国宝指定で多くの観光客が訪れる熊谷市の妻沼聖天山(めぬましょうでんざん)本殿「歓喜院(かんぎいん)聖天堂」。「平成の大修理」によりよみがえった約二百五十年前の極彩色が人気を支えている。ただ、夏の暑さなど熊谷の厳しい気候の影響で、塗装面の乾燥劣化が専門家らの予想を超えるスピードで進む。再塗装などの修復作業が昨年から続く中、漆不足という新たな課題も浮上している。 (花井勝規)

 聖天堂は、拝殿と中殿、奥殿が一体的につながった権現造りの建造物。現在の建物は約二十五年の歳月をかけ、江戸中期の一七六〇年に再建された。

 奥殿は、日光東照宮の修復に参加した彫刻師らが手がけたとされる豪華絢爛(けんらん)で緻密な彫刻群が最大の見どころ。七福神やサル、雪遊びに興じる子供たちなど多様なテーマが観光客の目をくぎ付けにしている。

 彫刻群は長期にわたり色は失われたままになっていたが、七年の歳月と十三億円超の費用をかけた平成の大修理で二〇一〇年、赤や黒、緑、金など当時の極彩色が復活した。

 よみがえった極彩色の一部に色あせや表面のひび割れなどが目立ってきたのは「大修理から約五年が経過した一五年ごろだった」と熊谷市教育委員会文化財保護係主任の山下祐樹さん(35)は振り返る。

 平成の大修理では、彫刻に直接漆顔料を塗る従来の方法に加え、和紙コーティングをした上に彩色するという方法も採り入れた。「文化財の修復に和紙コーティング彩色を使うのは当時、世界初の試みだった」といい、奥殿の彫刻群のおよそ二割に施されたという。

 悩ましいのは、修復が必要になった箇所の多くが、その新方式を施した箇所で見つかった点だ。山下さんは「文化財の保全修復は一回限りのものではなく、定期的なメンテナンスが必要だ。新方式が寒暖の差が激しい熊谷の気候に合っているのかどうかも含め、修復方法を再検討したい」と話す。

 現在、奥殿と拝殿の一部は工事用の足場とシートで覆われ、漆の塗り直しなどの修復作業が続いている。工期は昨年度から二年間の計画だが、影を落とすのが全国的な漆不足だ。必要な塗料が確保できないため、今月中にはいったん作業を終え、来年度に再開することを検討している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報