東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

<ひと物語>宮代の伝統食 後世に 料理研究家・小松美貴子さん

「呉汁はイソフラボンも取れ、健康食としても日常生活に取り入れたい汁物」と話す小松さん=宮代町で

写真

 黒豆呉汁、きゅうりのつくだ煮、ピーナツみそ、ねぎのぬた、五目ずし。宮代町の農家に伝わる料理を基に作られた「伝統食メニュー」だ。発表会が十一月に町郷土資料館の「旧加藤家」であり、町内の飲食店「ゆるり蔵」が調理した。

 レシピを作成したのは宮代町の料理研究家、小松美貴子さん(48)。「消えそうになっている食を後世につなげていきたい」と話す。

 「美食プロデューサー」を名乗り、地域のグルメ開発や郷土食の普及活動に取り組んでいる。美食とは「おいしいだけでなく、体が健康で美しくなる食事」を意味するという。

 長男がアレルギーと虚弱体質だったことをきっかけに、伝統的な食事法を重んじ野菜などを主体に摂取する「マクロビオティック」を学び、郷土食や地元の野菜をメインにした料理教室を主宰している。

 伝統食メニューは宮代町が進める農商連携の取り組みの一環だ。地元の農産物を加工、付加価値をつけて売ることで農業者と商業者の収益向上を目指す。杉戸町で以前、アドバイザーとして地域の食文化をテーマにした「杉戸宿新グルメ」の開発に尽力したことが評価され、宮代町からも声を掛けられ、引き受けた。

 宮代、杉戸両町は隣接し、共通する食文化がある。これまで農家から聞き取り調査をし、地域に伝わる郷土食を掘り起こしてきた。

 ねぎのぬたは、ねぎをゆでないで蒸す。杉戸のおばあちゃんから教わった調理法だ。うま味が逃げない工夫で、「ヒアリングして初めて分かった」。

 すりつぶした大豆と野菜を入れた呉汁。宮代町で再現した際、九十代のおばあちゃんが「何年かぶりに食べられてうれしい」と喜んだ。聞き取り調査の結果、七十代などの高齢者が呉汁を長年作っていなかった。子どもも孫も食べず、引き継いでいる家庭がほとんどなかった。いま、高齢者から調理法を聞いておくことは「宮代の食文化を残す最後のチャンスかもしれない」。

 一方で郷土食を再現するだけでなく、アレンジすることも。「若い人たちにも受け入れられ、食べ継いでいってほしい」からだ。例えば、呉汁の調理では、若い人が苦手な豆の青臭さをなくすため豆の量を減らし、よく火にかける。こうして新たに作った呉汁は若い人に好評だという。

 今後も料理教室などで郷土食を教えていくつもりだ。「宮代には新しいファミリーがたくさん入ってきている。若い世代のお母さんたちに日常の家庭料理として作ってもらうのが目標です」 (中西公一)

 <こまつ・みきこ> 名古屋市出身。名古屋外国語大卒業。17年前に結婚を機に宮代町に転居。料理教室「vivera’s kitchen」を主宰。杉戸町の「日光街道杉戸宿開宿400年」(2016年)で新グルメ開発に携わる。宮代町の農業関連施設「新しい村」で料理講座を開催。「脳ダイエットインストラクター」などの資格も持つ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報